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    Xiorama

    @DiAxiorm

    一次創作、EnDの二次創作を投稿しています
    R‐18、BL、NL関連が多いです。

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    Xiorama

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    #EnDワンドロ 第1回テーマ「花」
    キャラクター ノアルク
    1.5h/見直し時間が足りず修正箇所多い…
    今回から初チャレンジしてみました。

    #EnDワンドロ
    #ノアルク
    #BL小説
    blNovel
    #花吐き病
    flowerSpittingDisease
    #一次創作BL
    createBlAtOnce
    #二次創作BL
    secondaryCreationBl

    EnDワンドロ「花」ノア 17才 ルク 16才

    吐き出すー。

    「う”っ…くっ”…っ…!」

    相手を思う気持ちも、

    「くそ…っ…う”っ…」

    それを伝えられないもどかしさも、

    「は、は、…っ…」

    それがとても苦しく、辛かった。




    「はぁ…はぁ…今日はやけに止まらなかったな」

    自室のお手洗いに俯くノアは、さっきまで吐き出したアネモネの花びらを眺めながら呟く。
    体力を使ったのかそのまま床にしゃがみ込み、頭を抱えながら深いため息をついた。
    ー花吐き病。
    それは、強い片思いから患うことがある奇病。
    恋愛なんてそんなものとは無関係な殺伐と偽りの日常を送っていた身として、初期症状を発症したときは心底驚いた。知識だけしか知らなかったその病気はやはり奇病と言われるだけあって治療法がない。出来ることは進行を遅くすることくらいだ。或いは、想い人と実った時、自身から花びらではなく綺麗な花を吐き出すことで完治するらしい。
    だが、その望みは叶わないだろう。ノアの想い人はきっと自分を恋愛対象として見ていないだろうから。
    本家の仲間から用意される苦い薬を服用し、日々耐えているノアだがそろそろ限界が近づいてきているのかもしれない。これまでの日々を思い浮かべながら横を向くと、視線の先には待ち合わせの時間まで残り三十分を切っていた。

    「そろそろ…出ないとな」

    これから会う人には絶対にバレないようにしないといけない。
    でないと、傍にいることすらも出来なくなってしまうから。
    重い体を動かし、ノアは洗面所に広がっているアネモネの花びらを片づける。
    顔を洗い、気を引き締めて口角を少し上げた。
    シンプルな恰好に着替え、香水を手首に一回。
    彼から誕生日プレゼントでもらった黒いネックレスだけはつけ、玄関で全体を見直し部屋を後にした。




    待ち合わせ場所には十分前には着いた。周りを見てみても、まだ彼の姿は見えない。
    良かった、どうやら先に着いたようだ。

    久しぶりに被った休暇、お互い気づいた時にはどこか出かけようと提案していた。
    アクセサリーショップにも行きたいし、何件か彼が好きそうなカフェも見つけている。
    喜んで貰えるといいけど…。
    少し不安を感じると、段々と吐き気が増してきた。
    ああ、不安になるとまた吐き出したくなるんだった。折角の休みだ。絶対に隠し通してみせよう。
    一瞬だけ顔を歪ませ耐えていると、丁度こちらに向かって駆け寄る青年が現れた。

    「悪い。待たせたか?」
    「ううん、ついさっき来たばっかだよ」

    少し息を切らしながら来たのは、ルクヴェスだった。
    優しく微笑み、ノアはじゃあ行こうかと手を差し出す。

    「っ、もう俺たちそれなりの歳だろ。迷子にならねえよ」
    「ふふ、そうだね。…ごめんごめん。やっぱり長い付き合いだからよく迷子になるルクが思い浮かんじゃってさ」
    「いつの話だよ…どーせ、十代になったばかりの頃の話だろ」
    「多分?でも今でもたまに迷子になったりするよね」
    「…いいから行こうぜ」

    恥ずかしくなったのか、耳まで赤くしながらスタスタ先に進むルクヴェスに対し、ノアは笑顔で彼について行く。

    ーそれからの時間は、幸せだった。

    ルクヴェスが選んでくれるアクセサリーはどれもセンスがいい。
    今回はイヤーカフを選んで貰い休憩がてら、事前に調べていた和風のカフェに入り、美味しそうに抹茶セットのスイーツや飲み物を食す。気に入ってくれたのか、ルクヴェスの表情は口角が上がっていた。
    気が付けば、空は暗くなり、終わりが近づいている。

    このままずっと一緒にいられたらいいのに…
    寂しさから出てきた想いは日に日に大きくなっていく。

    「そろそろ時間か。帰ろうぜノア」
    「…うん、そう、だね」

    嫌だ…、離れたくない。
    寮に戻ろうとするルクヴェスを見つめてると、胸が痛くなった。
    この想いを、告げるべきか。そう思った瞬間。
    一気に吐き気が襲い掛かった。

    「う”っ…!」
    「え…ノア?!」

    思わず彼を残し、裏路地に逃げ、その場にしゃがみ込み、口を抑える。
    駄目だ、耐えろ。頼むから、せめて彼の前で見せたくない。
    …しかし、その願いは叶わなかった。

    少しだけ出てきた赤い花びら。
    抑えきれず地面に散っていくそれは、とても儚く綺麗だった。
    追いかけたルクヴェスは思わず暫くその姿を眺めていたが、苦しむノアに急いで背中を撫でる。

    「大丈夫か?」
    「うっ…、だい…じょうぶ…。ごめ、…先に…帰って…」
    「こんな状態で放っておけるか!何か、俺に出来る事はないか?」

    花びらを出しながら聞かれる言葉は、魅力的なものだった。
    彼は誰にでも優しい。だが、それが苦しい。自分だけを見て欲しい。
    自分だけのものにしたい。
    そんな黒い感情がノアの頭の中を覆いつくす。
    ルクヴェスの肩を掴み、ノアは俯きながらも懇願するように告げた。

    「嘘でもいいから…俺を好きって…言って…」
    「え…」
    「俺だけを、見て…」

    偽りでもいい。今この瞬間だけ、夢を見たくなった。
    掴んだ手が震える。ああ、また吐きそうだ。
    顔を上げ、ノアはルクヴェスに笑みを見せる。

    「おねがい…ルク…」
    「っ…!」

    目を見開いた時、ルクヴェスに抱きしめられていると気づくまで時間はかからなかった。
    強く、ここにいると教えてくれるように。

    「嘘じゃない。俺は…あんたが好きだ」
    「っ…」
    「ノア、あんたは俺にとって特別な存在なんだ」
    「親友…でしょ?」
    「まあそれもある」
    「俺は…それ以上になりたい。お前の唯一になりたい」

    言ったらいけない。これを言ってしまったら、もう彼の隣にいられないと思っていたのに、今なら言える気がする。身体を離し、彼の綺麗な黄色の瞳を見つめながら、ノアは告げた。

    「俺は、ルクが好きだったよ。勿論…今も、これからもお前だけを想ってる」

    愛おしそうに告げ、ノアはそのままルクヴェスの唇に自身のものを合わせる。
    すぐに離れ彼の表情を見てみれば目を見開いて、驚いている。
    ずっと傍にいた親友にこんなことを言われたらそうなるだろう。
    これからお前が俺に対してどう接すればいいのか困る事も分かっている。
    こちらの身勝手だ。ただ、ようやく告げられた事に満足感を得た気がした。

    「これは、花吐き病だから気にしないで」
    「…いつから?」
    「…随分前から」
    「だから、いつ」
    「…五年くらい」
    「あんたは…ずっと独りで耐えてたのかよ」
    「…俺が、勝手にお前を好きになっただけだから」
    「っ…、なんで早く言ってくれなかったんだよ」
    「ルクが、俺のこと…好きになるわけないと思ってたから。…言わなければせめて今の場所は俺だけのものだって思えたからかな」

    苦笑いを見せるノアに、ルクヴェスは再度彼を抱きしめる。

    「勝手に俺の気持ちを決めるなよ」
    「ごめん…」
    「俺だって、あんたの気持ちが分からなかったから…どういえばいいか分からなかった」
    「…そう、なの?」
    「さっきも言っただろ。あんたは特別な存在だって。…親友でもあるけど、俺だってあんたを…独占したい気持ちもある」
    「え…」

    予想外の言葉に、今度はノアが驚いた表情を見せる。
    言葉よりも行動だ。今度はルクヴェスからノアの口を塞ぐ。
    ちゅっ、と可愛らしい音と共に、顔を赤くさせながらルクヴェスは告げる。

    「俺も、あんたが好きだ。今も…これからも」

    ずっと望んでいた言葉に、ノアが把握するのに時間がかかった。
    しかし、理解した瞬間今までとは違う大きな動悸が襲った。

    「う”っ!」
    「ノア!!」

    胸を抑えながら、掌に出したそれは、両想いになった証として現れると言われる、白い百合の花だった。二人はそれを見つめ、喜びを噛みしめるようにもう一度キスをした。
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    嗟弓@ A29393221

    DONEアテンション
    BLオリジナルストーリー 異世界現代風 小説参考キャラビジュイラストあり
    他サイトに掲載済み
    ね、見て綺麗かつては人間が支配していた青い星。その支配はある日を境に変わってしまった。人間以外の動物が人間と同等の知を持ち、四足歩行を突如として始めたのだ。動物上分類で、自らと種類が異なると相手を他種族と呼び、逆もそう呼んだ。人間の築いた文化は崩れ、元々飼われていた動物の文化と混ざり、新しいものとなった。そこで起きた社会問題についてこの本では解く。
    1〜
    『他種族と混ざってはいけない』これはこの世界に周知されたルール。
    他種族を決して愛しても、恋をしていても。体を重ね、一線を越えることはこの世で社会的に死ぬのに等しい。周囲にバレると死刑は確定する。
    もし、仮に他種族と体を重ね産まれてくる子がいるのなら。その子はまず死に至る。有名かつ常識的な話。自らの持つ種族遺伝子とパートナーの持つ種族遺伝子が別である…つまり他種族同士場合。その遺伝子同士は決して結び付くことはない。ゲイやレズ…同性同士では子が孕めないことに似ている。ところが、それらと違うのは腹を大きくできるところだ。しかし残念ながら、腹を痛めて産む子は生物ならざる姿、形で産まれる。そして半日もすれば死に絶える。肺も、エラもなく心臓どころか、脳も骨もない体で産まれ息もできず死ぬ。
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