【1回目】
「だめっすね。やはり条件をクリアして出るしかないと思うっす」
「そ、そうですか……」
「じゃあ、ヤマカサくん、ほっぺでいいっすか?」
「!!?!??!!そ、その、別に、顔じゃなくてもいいと思います」
「というと?」
「手…、とかですか」
「手……あはは、まるで王子様みたいっすね!」
「そそそそそそんなつもりでは」
「じゃあ、手に……」(ちゅっ)
「……っ!!(声にならない声)」(あああああああああ!!!!!)
【2回目】
「じゃあ、ヤマカサくん、ぼくにもお願いっす!」
「いいいいいいや僕は、ふぁ、ファーストキスもまだで」
「ぼくだってそうっすよ。だから大丈夫っす!」
「ああああああ……」
「ほら、大丈夫っすよ。言っちゃえば、皮膚と唇を接触させるだけっすから!」
「ご、ごめんなさい……で、では」
「うん、おっけーっす!一つ減りました!」
【3回目】
「この調子で、数回すれば……」
「そうっすね……」(ちゅっちゅっ)
「なあっっっ!!」
「あれー、減らないっすね。…んー、ちょっと腕まくってもらっていいっすか?」
「は、はい」
(腕にちゅっ)
「……」
「よし、減りました!じゃあ、僕もまくるので……ヤマカサくん!?」
「し、心臓が持たない……」
【4回目】
「……」(ちゅっ)
「じゃあ、次は……ほっぺとかっすかね?」
「肌が出ているところはそのぐらいでしょうか……」(ふっきれてきた)
「うん。じゃあ……」
(ぎゅっと目をつむる)
「ヤマカサくん、緊張してるんすか?ふふっ、なんかかわいいっすね」
【5回目】
「ヤマカサくん、肌綺麗っすね……」
「ふ、普通です」
「そうっすか?……」(ちゅっ)
(突然…!?)
「もう一つ……髪上げてほしいっす」
「……」
【6回目】
(ちゅ……)
「……」
「……はあ。じゃあ、今度はヤマカサくんの番っす」
「も、もしかしてその……頰と額に?」
「そりゃそうっすよ!ささ、お願いするっす!」
「ぐぬう……」
【7回目】
「そ、その、額はまだ……いいですが、頰は……」
「そうっすか?わかったっす。じゃあ、おでこだけでいいっすよ」(髪を上げる)
「で、では……」(ちゅっ…)
「うん。よくできたっすね」
「は、はい…!」
「じゃあ、ほっぺじゃないならどこがいいっすかね?」
「あ、脚…?」
「おっ、中々マニアックなとこ攻めるっすね」
「そ、そんなつもりでは…!」
【8回目】
「脚っていうと……ここっすかね?」(脛をまくる)
(ぎゃ、逆にいけない気分になる……)
「するなら早くしてほしいっすよ。僕もなんだか恥ずかしくなってくるっす…!」
「……っっっっ、で、では、」
「っふふっ……くすぐったいっす……」
【9回目】
「あと2回……と。どこっすかねー。あ、ヤマカサくん僕の手にしてなくないっすか?」
「い、いいいいやそれは流石に無理です!!」
「むー、どこならいいんすか?」
「……え、えっと……」
(耳、首筋、唇、もう倫理的に危ないところしか残っていない……!)
「……あ、僕見つけたっす!」
「えっ」
(か、顔ちかっ……っ、鼻!?)
「大丈夫っすか?固まってるっすけど……」
「い、いや、」
(唇にされるかと思った……)
【10回目】
「じゃ、最後はヤマカサくんっすよ。僕の手にしてくださいっす」
「……わかりました」
(この光景….目に焼き付けなければ)
「ふふっ……あ、空いたっす」
【回目】
「や、やっと出られますね……」
「そうっすか?僕は早く出られたって思うっすけど……ヤマカサくんのおかげっすね」
(レイさんはいつも平常心だ……僕だけが慌てて……情けない)
「ふーっ、出られて良かったっす。あ、ヤマカサくんそこ段差あるっすから気をつけ……」
「………っ」
「へ?」
「す、すみませ……」
「……ちょっと掠めたとはいえ……まさか、ファーストキスを奪われるなんて……思ってもみなかったっすよ」
(ぼぼぼぼ僕はなんてことを……っ)
「……わかったっす。……もう一度部屋に戻って続きするっすか?」
「えっ、あっ、そんなっ」
「いいっすよヤマカサくん。てゆーか、ファーストキスの責任、とらなきゃ帰さないっすよ」
「れ、レイさんっ!そんな……そんな所はダメです!ぼぼぼ僕はおきゅうと工場を継ぐためにいずれは跡継ぎを」
「……ヤマカサぁ?寝言言ってないで早く起きんしゃい」
「……はっ」