月と樹と写輪眼─もう一人のうちは─第二章 決意の夜、名を捨てた少女木の葉隠れの里、うちは一族の居住区域。
深い闇に包まれた夜。
辺りには不気味な静けさが漂っていた。
イタチは月光に照らされた一族の街並みを見下ろしていた。
彼の写輪眼が赤く輝いている。
風が吹き、彼の黒髪が月明かりに揺れた。
イタチは深く息を吐き、微かに震える手を見つめている。
そしてその姿は、夜の闇の中に溶けていった─
ふと、大きな物音で夜中に目が覚めたミズノ。
「何の音…?」
隣の部屋で寝ているイズミを起こしに行く。
「ねぇ、お姉様!!
起きて!外からすごい音が聞こえたの!」
イズミが気だるそうに目を覚ます。
「え?すごい音……?お母様が起きてるんじゃない…?」
「ううん。外から聞こえたの。
なんか嫌な予感がする…。」
イズミとミズノは母の寝室に向かったが、誰もいなかった。
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