ある「元」光の戦士の6.02その8 フェオの眼前にはヴィースの男性が仰向けに倒れている。端正な顔立ちが腫れ上がり、唇の端は切れ白目を剥いていた。
「しつこー‼︎」
眉間にしわをよせながらフィーネが顔についた泥をぬぐう。男性から逃げ回った際に跳ねたものだ。
「後ろにもついているわ」
ハンカチを受け取って、銀色の髪に飛んだ泥をフェオが拭き取っていく。
「ありがと」
拭き終わったハンカチを見てフィーネが顔をしかめる。
「汚れたねえ……」
「洗えそうなところはあるかしら?」
「ううん、もう古くなっていたから良いよ。ごみ箱あるかな」
見回してみるが見当たらない。
「燃やせば良いのだわ」
「そうするか」
気軽に言い放ったフィーネは両手杖を取り出した。
「岩砕き骸ごろごろ地に潜んだなんちゃらがぎゅっとなってどーん」
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