「…では、今日のブリーフィングは以上。皆、よろしく頼む。」
はい!と各々が元気に返事をして道具を取りに行こうと部屋から駆け出していく。
じゃあ俺もみんなの持ち場確認して来ますね、とそう言って部屋を出ようとしたら隊長に「いや、今日はそっちは行かなくていい。」って止められた。
あれ?この数日はブリーフィングの後みんなの持ち場を確認して、その後執務室に戻って隊長の書類を運んだりするのがお決まりだったのに。
ブリーフィングで何か変更するって言ってたっけ…?
そう考えている俺の頭の中なんて、フライ隊長はお見通しみたいで、「すまないな、持ち場の確認はシェイクとドットに頼んでおいた。お前には他の大事な仕事を頼みたい。」
とゆっくり言い聞かせるように言われる。
「だ、大事な、っすか…?」
なんだろう、大事、なんて言われると緊張するけど…。
「ああ。とは言ってもな、もう形式的なものだからそんなに畏まらなくていい。そうだ、お前は飛び込み部隊だから資材回収中の警邏はしたことはあるな?」
「は、はい!もちろんあるっす!」
基本非力な飛び込み部隊は資材の回収より、海底に停泊させた艦の警邏をして急な天候の変化や、俺はあったこと無いけど敵対勢力(捕食者やその他の生物)がいないか辺りを警戒してる。
あまりに数が少ないと回収に駆り出されることもたまにあるけど、あんまり役には立たないし。
コクコクと頷いて見せると隊長も1つ頷いて。
「なら話は早い。殆ど同じことをするだけだ。それに俺も一緒に行く」
「隊長も一緒なんすね!じゃあ安心っす!」
えへへ、と笑って、あ、そしたら1階で少し体慣らします?またしゃっくり出ちゃうと苦しいっすよね?と声を掛けたら「いや、気遣いはありがたいが、今回は必要無いんだ。むしろ、水中では息を止めていた方がいい。」
「へ?どういうことすか?」
「すぐ肺呼吸になるからな。鰓呼吸挟むと切り替えが面倒だろう?」
「すぐ肺呼吸に、てことは、え。」
もしかして、と隊長を見上げると頷いて鰭で上を示す。
「海上の見回りだ。」
「えええ?!」