彷徨 不意にさらりと流れた黒い髪。
その合間から覗いた細くて白い首筋。
目にした瞬間に感じた言いようのない本能的な高揚感に、直様吐き気を覚えた。
オルテガ・フィン・ガーランドにとって幼馴染であるセイアッド・リア・レヴォネは最も親しい友人であり、最も大切な者だ。
物心の付く前から惹かれた存在であり、出逢った瞬間からずっとオルテガの心を占めている幼馴染はいつだって無垢で綺麗な存在だった。崇拝にも似たその感情は年を経る毎に徐々に変化していく。
男の体が成長すれば、必然的に性的な衝動が伴ってくるのだと頭では理解していた。しかし、オルテガにとって聖域ともいえるセイアッドにそんな感情を覚える事はないと思っていたのに。
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