夜空を照らす形と一緒 UGNに定時という概念はない。いや、あれよ。夜間でも人の気配が無くなりはしない支部の中で、しかし事務所は閑散としている。
機械のように機械を動かすというのはなんという皮肉だろうか。白瀬鳴はただひたすらに画面を睨みつけてキーボードを叩いていた。
「うわ、本当にまだいたんですか」
そんな静寂に割り込んでくる聞き覚えのありすぎる声に、鳴ははたと手を止めた。ぼやけていたモニターの外側の景色が急激に鮮明になってゆく。返事をしなくては、と自身の社会性を呼び起こそうとして、想像以上に頭がぼんやりとしていることに気がついた。一度ぎゅっと目を閉じて眉間を強く指で押す。
一拍置いて椅子を回転させ、声がした方向、事務所の出入り口へ体を向けると、そこにはがっしりとしたスーツの男の姿があった。
1567