十一話 瞳の色 私とオイカワさんの二人だけの足音だけが響く。道の両側に巨大な本棚が延々と連なっているので進んでいる気がしない。おまけに会話が全くない状態で歩いているので余計に疲れる。だけど、歩くと言った以上へばっていては申し訳ない。
彼の歩行スピードは変わらず、気を抜けばすぐにおいて行かれそうだ。内心必死に追い付こうと歩いていると、唐突にオイカワさんが口を開く。
「そういえばアンタ、どうして追われているかわからないって言ってたな」
「は、はい」
「あの追手の一部から聞いた話によると、一番の要因はアオヤマの目の色らしい」
「え……」
その内容は自分にとって最も触れてほしくないことだった。
反射的に立ち止まり、目を手で隠す。
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