夢のまにまに夜光虫のライトを付ける。
柔らかな青い光に照らされて、蛸壺の中で、アズールの薄墨色の肌が浮かび上がった。
ここはアズールの夢の世界で、愚かな闇の幻影たちをすべてイソギンチャクに変えて海底の岩に張り付かせた後、アズールは自らのイマジネーションが作り出した静寂の世界でその身を休めていた。
とても静かで、心地よい、アズールのためだけの世界。
世界の中心にいたい自分も、自分だけの世界に潜みたい自分も、どちらもアズールの中にある渇望だった。
今はただ疲れた心を休めるために、蛸壺の中でゆったりとその尾びれを伸ばす。
水タコを原種とするアズールはタコの人魚の中でも体長が大きくなる種族で、まだ成長途中であるにも関わらず、すでにその尾びれは原種同様に10メートルを超えている。
3174