畑が欲しい夜行列車本丸の桑名くんの話畑がほしい桑名くん
ガタン、ゴトン。
心地の良い揺れに目を開ける。開かれたカーテンから差し込む日差しに目を細めた。
「……ああ、おはよう、主」
そう呟き、起き上がって伸びをする。
今日の主は、どこを走っているのかな。
この本丸は、夜行列車の形をしている。
そして僕達の主は、人の形をしていない。
本丸であるこの列車が審神者そのものなのだ。
「今日の主はどこをはしっているんだい?」
窓に顔を寄せて見る。
外には透明な青が広がっていた。
「松井さん、おはようございます!今日は海みたいですよ」
寝台から降りて共有スペースへ顔を出すと、篭手切が声をかけてきた。
「おはよう篭手切。綺麗だね。豊前は?」
「主と競争してます」
「またかい?懲りないなあ」
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