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    さわら

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    さわら

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    続くかもしれないし続かないかもしれないアシュグレ。
    グに気持ち悪い!って拒絶されてほしい~~

    ##エリオスR
    #アシュグレ
    ashGray

     はじめに、耳を疑った。
     次に目を疑った。
     最後に夢かと疑った。
     しかし、疑おうとも否定をしようとも、胸にせり上がってくるものが現実だと訴えている。
     頭の中では耳鳴りのようにぐわんぐわんと煩く響く音が鳴って、視界が右も左も上も下もわからないほどにぐにゃぐにゃと捻れて。
     自分が果たして立っているのか、それとも座っているのか曖昧になっても、男の声だけははっきりと聞こえた。
     グレイ・リヴァースをそんな状態にした男の声。
     アッシュ・オルブライトの声。
     今でも怒鳴られれば竦み上がってしまう、芯に深く突き刺さって抜けない棘のような、声。それが、今は――。
    「グレイ」
    「……っ」
     やめて、と耳をふさいで叫びたくなった。実際には声にもならない。
     いつもは人を嘲笑するように『ギーク』と呼ぶくせに。
     なんで。
     どうして。
     そう声にしようとしても、音にならない。はくはくと口を開閉させるばかりにしか。
     一歩近づくアッシュに反応するように、緊張に強張った身体が反射的に後退る。アッシュが近づいたぶんだけ自身の身体も動いて、それを繰り返して。とうとう背中がベランダへと続く窓ガラスへと当たって止まる。
     サッシを開けて一歩外へと出れば、どこよりも高く聳えるエリオスタワーからはニューミリオンの街を一望できるけれど、そんな余裕はない。最後の逃げ場もそこだけであるが、さりとて逃げ切るためには飛び降りるしかなく、無論そんな勇気などあるわけがない。以前飛び降りた度胸試しに連れて行かれた館とは違って、額に傷を負うだけでは済まないのは明白だ。どちらにしろグレイには打つ手がなく、まさに袋の鼠である。
    「……なんで逃げる」
    「……ヒッ」
     訊きたいのはこちらの方だ。そう口にしたいのに、挟み込んで檻に閉じ込めるみたいにして伸ばされたアッシュの腕に驚いて引きつった悲鳴しか零れない。
    (こんなアッシュ、知らない……っ)
     グレイの知るアッシュ・オルブライトとは不遜な男だった。誰にも媚びず、顧みず、己を絶対唯一の強者だと自負しているような、そんな男だ。
     グレイをからかう時はまるで玩具を嬲るように愉しそうで、その顔を真正面から見ることが怖かった。なのに今は、グレイの知る表情を彼はしていない。
     どこか痛ましそうに眉根を寄せてこちらを見る男の顔は終ぞ向けられたことのない真剣なもので。それでもぎらぎらと光る真っ赤に燃える夕焼け色の瞳だけは紛れもなくアッシュだ。
    (こわ、い)
     知らない男が目の前にいる。けれどその見た目も声も瞳さえも間違いなくアッシュ本人のものだ。でも、こんな男は知らない。こんなアッシュのことは――……。
     いつもは怒鳴られ、或いはからかわれ、グレイのコンプレックスを抉るように嘲笑する言葉もなく。ただ静かに口を開こうとするのだ。先程、グレイが耳を疑った、その言葉を再び告げようとするかのように。
    「俺は、お前が――」
    「――や、やめて……っ」
     漸く零れた拒絶は悲鳴のように裏返った。
     そんな言葉をまた聞きたくはなかった。ましてやアッシュの口からなんて。嘘や冗談なのだとわかりきっているのに、あまりにもたちが悪い。
     またしても胸にせり上がってくるものに思わず口を押さえる。これは不快感だ。ぐちゃぐちゃとした感情とともに逆流して喉を焼くそれは現実か否か。どちらにしろ吐き出したくてたまらなかった。生理的なそれは歯止めが効かない。
    「は、離れて……ぼ、僕に近づかないで……!」
    「グレイ……」
    「――気持ち悪い……!」
     気がつけば、触れるように伸ばされかけた手を振り払って怯えるように叫んでいた。
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    matchajio36

    MOURNING【マイバジ】
    文字数オーバーしてしまってますがこのお題でどうしても書きたかった吸血鬼ネタがあったので書きました🙏(※マが吸血鬼です)

    貴方はマバで『いくらでもくれてやる』をお題にして140文字SSを書いてください。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/587150
    マイバジ 『いくらでもくれてやる』 ぢゅるり。血を啜る音が鼓膜を震わせる。首筋にかかる熱い吐息も、ねっとりと這う舌の動きも擽ったくて堪らない。バジ、と熱っぽく名前を囁き、未だ飢えの収まらぬ瞳で射貫くように見つめてくる万次郎の後ろ頭に場地は右手を伸ばし、ぐっと引き寄せた。再び首筋に顔を埋める体勢になった万次郎は一瞬息をのんだが、噛み痕から伝う真っ赤な血と唆られる香りに繋ぎ止めていた理性がぐらりと揺れた表情を見せた。離れようとする頭を逃さぬようにぎゅっと抱き込めば、諦めた万次郎は衝動のままに首筋へと被りつく。鋭い牙がブツリ、と新たに皮膚を突き破る痛みに顔を歪めながらも、場地は万次郎の衝動が収まるまで離れる気はなかった。血に飢えた幼馴染を助けたい、その為ならこの身がどうなろうと構わないから。必死に血を啜りながら抱き締めてくる万次郎の頭を、まるで子どもをあやすかの様に優しく撫で続けた。
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