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    amgoenir

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    第1回目スモ受けワンドロワンライ
    ロスモ

    ブレーキランプ5回点滅「パチカス」

    「ヤニ野郎」

    「肺炎」

    エトセトラエトセトラ。雑な悪口で鳴り止まないスマホを手に取って、GPSアプリを立ち上げた。
    ローから送られる三歳児みたいな悪口は、「迎えに来て欲しい」の意味であり、「寂しい」という感情表現である。めんどくさい彼女のような発作は、今に始まったことでない。初めての家出は悪口と辺りの写真が送られてきて、意味がわからず電話したら何も言わずにただ騒音を流されただけだった。紅葉も色あせた午前二時。放置する訳にも行かず、エナジードリンク片手に割り出した時のことは今でも覚えている。翌日、「登録しといたから」と勝手にインストールされたアプリには、ローの名前と居場所が表示されていた。また家出するから迎えに来い。と言われたようなものだ。ヒナにそのことを話したら別れることをオススメされた。

    「そういうとこがかわいいんだよ」

    と返した時のヒナの顔。スモーカーは心底愉快だった。そういえば、若い時に上司がよく言っていた「そんなとこもかわいいんじゃない」と全く同じやり取りだな。自分も歳を取ったものだ。
    閑話休題。
    結局、スモーカーもローのことがちゃんと好きで、愛に変わりつつある恋心が自身を盲目にさせているのだ。
    愛車に取り付けたスマホが目的地に到着したと告げる。メットインスペースからヘルメットを出して、目の前に立っているローに投げつけた。

    「遅い」

    「寒い」

    「ヤニ臭い」

    文句しか言わないローを後ろに乗っけて家に帰る。インカムはつけているものの、無言で音楽すら流れない。時々、機械的なアナウンスが道を示すだけだ。

    「目的地まで残り五キロメートル。次の信号を右折してください」

    スモーカーは左にハンドルを切った。地図アプリは文句を言っているが気にせず家から遠ざかる。ローは何も言わない。スモーカーも黙っている。なぜならそれはいつもの事で、お互いこの時間が好きだから。つまるところ、雑な悪口はローなりのデートのお誘いであり、愛車を温めることがスモーカーなりの返事なのである。
    と、悪口のやまないスマホをヒナに見せながら惚気けたらあの時と同じ顔をしていた。
    まったく、愉快な事だ。
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    lll_suki

    PROGRESS6月25日(日) 東京ビッグサイトにて行われるプチオンリー「極上の1杯を貴女に」で頒布を予定している、名探偵コナン/降谷零 夢小説のサンプルです。
    本文中、何度か視点が切り替わります。

    [あらすじ]
    黒ずくめの組織の壊滅まであと少し。
    妻を守るために自身の死を偽装し別れた降谷と、彼を亡くした日常のなかで必死に生きようとする妻が、もう一度出会うまでのおはなし。
    ハッピーエンド。
    拝啓 春へ置き去りにしたあなたへ おしまいはほんとうに突然で、それはよく澄んだ、春のおわりだった。

    「ご無沙汰しております」
     警察官の夫と、私と、それから子犬のハロ。ふたりと一匹暮らしのマンションに突然訪れたのは、篤実そうな男性だった。
     夫の部下だという男性は、『風見』さんと名乗った。彼と顔を合わせるのは確か、これが二度目。高い背丈と、あのひととは正反対に吊り上がった瞳がつよく印象に残っている。
     どうぞこちらへ。そう室内へ促した私に、春の空気をまとった彼は、ただ首を横に振った。
    「きょうは、こちらをお届けに伺ったんです」
     そうして手渡されたのは、真っ白な陶器の蓋物だった。私の両手のひらにちょうどぴったり収まるほどの、つるりと丸くて軽いそれ。薄い生成りで包まれているのに氷みたいに冷たくて、受け取った途端、言いようのない焦燥感が背を駆け抜けた。
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