太宰の本気の1週間7日目……最終日。
電話がなる音で私は目覚めた、携帯を探すため辺りを手探りで探している時気がついて、飛び起きた
「あれ?」
いつの間にかベットに寝ていた。中也を待ってたはずなのに、いつの間にか朝になっていて、そして私はベットに横になっていた
「中也?」
とりあえず、鳴り続ける電話は無視をして、一応持ち、そしてリビングに行ったが中也の姿は無かった。
「居ない……」
携帯で時間を確認すれば既に出勤時間を過ぎていた。
「起こしてくれてもいいじゃない…」
何も言わずに出ていった中也に拗ねていたが、テーブルと部屋の中の匂いに口元が緩む
「中也のご飯だ」
テーブルには朝ごはんが用意されていた。昨日の私の料理ではなくて、中也が作った朝ごはん。
焼き鮭。卵焼き。ほうれん草のお浸し。それらがテーブルにラップをされて並んでいた。そしてキッチンに行けば、ワカメのお味噌汁にご飯がある。
「中也の朝ごはん。私の好きなご飯だ」
それだけで嬉しくなる。中也のご飯を食べるため、お味噌汁を温め盛り、そしてご飯をよそい、テーブルに持って行き、ラップを外し、食べ始める。
「おいしい」
私はモグモグと食べ進める、中也のご飯はやっぱり美味しかった。私が自分で作ったご飯よりも美味しいものだった。
「中也と2人で食べたかった」
出来たら目の前に中也が居ることを望が、今はまだ、いい。
「最後の日だけど中也、会ってくれるかな」
ご飯を食べながら考える。会ってもらえるか分からないけれど、何もせずには居られないから、私は行動するのみだ。
ご飯を食べ終え、食器を洗い、そして1度シャワーを浴びてから着替えて……
「ちょっと待った!!」
私が用意しなくても、風呂場にバスタオルと私の服が用意されている。
それも私は自然と使い、着替え終わるまで違和感に気が付かなかった。
「そりゃたまに泊まったからあるけれどさ」
それでもここまで完璧に準備されてるのもなんだか、照れてしまうのと、やっぱり中也には叶わないと思う。
用意された服は中也が使う洗剤の匂いだった。
「あー。なんだか負けた気分」
負けた気分なんてものじゃない、完全に負けたのだ。連絡を途絶えていたにも関わらず、私を運び寝かせて、そして朝ごはんまで用意し、お風呂まで完璧にされている。
「もぅ、また惚れ直した……」
何処に?と思う人もいるけれど、私には中也のこの心遣いが嬉しくて、何も言い訳してない、何も解決してないのに私に甘い中也に惚れ直すのだ。
「今日、私がかっこよく決めなくちゃ行けない」
私ができゆる限りで中也を惚れさせる為に私は気合いを入れ、そしてようやく携帯を見て、私は嬉しくて頬が緩む
(昨日は飯ありがとな。めちゃくちゃ美味かった。太宰の手料理初めてだったから嬉しかった。朝食っても美味さは変わらねぇ。ありがとな。
後、今日夜は早めに帰れる。昨日の詫びだ、飯のリクエスト受けてやるからメールよこせ。それからちゃんと仕事終わらせろよ。)
「もう。本当にずるい。」
食べてくれた事が嬉しくて、そしてあの朝ごはんは私だけに作ってくれた事に私は胸がときめいた。
(起こしてくれれば良かったのに。中也、話たい事があるから聞いて欲しい。後ご飯はね、かに玉がいいな!)
メールを送り、中也の部屋を出て、探偵社まで行き、国木田君のお小言を貰いながらも席につき私は仕事をした。
途中携帯が振るえたので見れば中也からでそれを見て頑張ろうと気合いを入れ仕事をこなした。
(わかった。太宰の話聞く。飯…やっぱり蟹かよ。作るからきちんと仕事終わらせろよ。)
定時まで仕事をして、きちんと終わらせて、私は探偵社を出て、百貨店により、中也が好きそうなワインを買って、中也の部屋に向かった。
ピッキングで入れば既に中也は帰宅しているようで、私が部屋に入れば中也が丁度洗濯を入れている所だった。
「…………」
私の服と、中也の服、それらを入れている中也の姿にキュンとして、私のシャツをぎゅっと抱きしめている姿を見て、私は声をかけようとしたら、中也がこちらを見た。
「キュンとしたろ」
「……弄ばれた」
「ふは」
「酷いんだ中也」
そう言った私の言葉に笑い、そして洗濯を部屋の中に入れて、座り中也が畳む横に座る
「なんだよ」
「私も出来るのだよ」
そう言って中也のシャツを持てば中也の匂いがして私は抱きしめてしまった
「何してんだ青鯖」
「んー。匂いチェック?」
「はぁ?」
「なんでもない、私がうん。悪い」
そうして1度シワを伸ばし畳めば、中也がこちらを見つめる
「何さ」
「いや、本当に出来るんだと思って」
「出来るよ。中也が望むなら手伝う事だって、出来るのだよ」
「なら、この洗濯任せた」
そう言って中也が立ち上がり何処かに行こうとするので私は声をかける
「中也は?」
「俺は料理」
「あぁ、そうか」
「だから、頼むな」
そう言ってキッチンに立つ中也を見て、任された洗濯を畳んでいく、そうすればいい匂いが部屋に立ち込める
「いい匂い」
私は笑みをこぼし言う、そして中也を見れば楽しそうに料理をしている。
「やっぱり料理をする中也も可愛いね」
私の呟きは聞こえない、それでもいい、私は聞こえる音と匂いに楽しくなる。
洗濯を畳み終わったら中也に声をかければ、それを仕舞いに行く中也に着いて回る、私の服、そして中也の服をしまう場所を覚えて、1人納得して、嬉しくなる。
「仕舞う場所も覚えた」
「覚えんな」
「だって、必要になる事でしょ」
私の言葉に中也は何も言わないので、私は続けて言う
「これから必要になるのだから、覚えておきたいの」
「そうか」
そう言って中也が部屋を出る、耳を見れば少し赤くなっているので、不快な思いではないと嬉しくなる、そしてキッチンが見えるテーブルに座れば中也が言う
「いつまで外套来てんだよ」
「あっ、忘れてた」
言われて思い出し、私は外套を何時もの所にかけて、買ってきたワインを中也に渡す
「中也」
「なんだよ」
「お酒…買ってきた」
「…………」
「中也の好みに合うと思う。私のお金で買えるものだから、そんなにいい物じゃないけど…」
そう言って中也に渡せば中也はため息を吐き、そして袋を受け取る
「太宰」
「何さ、別に要らないなら」
言いかけた私の言葉をさえぎり言う
「太宰が俺の事を考えて買ってくれた物に値段も何も関係ない」
「………」
「それだけで嬉しい、ありがとうな」
中也が喜んでくれた事に安心して私が笑えば中也も笑ってくれる
「もう少しで出来るから待ってろ」
そう言ってキッチンに戻り料理をする中也を今度こそ椅子に座り待っていれば、料理が完成して、テーブルに並べ、そして2人で食べる。何時もの様に話をして、時にからかい、そしてそれに笑う。とてもいい時間だった。
ご飯を食べ終われば、中也が片付けをして、私はお風呂に入り、その後中也も入り、2人でソファに寄りかかりながら床に座る
「中也」
「なんだよ」
「あの、まずこの間の事を聞いて欲しい」
「…………」
「あれね、仕事だったのだよ」
「ふーん」
「本当なんだ、後ろに敦君がね…」
「言っとけ、隠れるならもっと上手く隠れろって」
「へぇ?」
「それで?」
「あ、うん。それで相手を引き出す為にね、2人で出かける振りをした。それだけなんだ。私が声をかけた訳じゃない」
「いい子そうだったな」
「いい子だったよ」
「………」
「あっ、誤解しないでよ。本当に良い子なのだよ。中也が通り過ぎた私が切なそうって当てられてしまって困ったけれど」
「切なそう?」
「その子、彼氏さん居るのだよ。それで私は中也に告白をして、落としてる最中にこんな任務嫌で、中也に見られたくないと思ったら見られた。それにあの言葉を聞いて、私は中也に声をかけようと振り向いた姿が、切なそうで悲しそうだったと言われたのだよ」
「……………」
「実際、焦ったし、私は中也の言葉に傷ついた。そして言い訳をしたくても出来ない状況にそんな気持ちだったのだから、仕方ない」
「…………」
「中也、あれは仕事。私は嫌々受けてやっただけだから、それは分かって欲しい」
「……太宰からのメールと電話の量、それから後ろに居た敦でそうなんじゃねぇかと思った」
「返事くれなかったのは」
「…………」
「中也、答えて欲しい」
「仕事だとしても…面白くねぇって思っただけ」
「それって」
「別に…なんでもねぇよ」
「中也」
「………」
「中也」
「…………」
「ちゅうや」
「なんだよ」
「今日、最終日だね」
「あぁ」
「中也を惚れさせようと頑張って見た1週間だけど、私が逆に中也を惚れ直した1週間だった」
「なんだそれ」
「中也に女を落とす言葉を吐いても、中也には響かない、けれど思いは口にしようとした」
「沢山言われたな」
「デートでカッコつけようとしたけど、何時もの私で良いと言われた中也の言葉に安心して、いつも通りの私で落とそうと頑張って見たけれど」
「おう」
「中也、私に甘いんだもん」
私は苦笑いを浮かべてしまう。けれどそんな私を中也が笑う
「ふは」
「私が惚れ直す事ばかりでなんにも上手く行かなかった」
「そうか、太宰にはそう見えたか」
「ん?」
「なぁ、太宰」
「なに」
「俺、浮気許せねぇんだよ」
「うん?」
中也が言ってる事が理解出来なくて、私は思わず疑問符をつけて答えてしまう
「心中して下さいって声かけんのは、最早病気だと思って諦めるが、女に声掛けて、出かけたり、ましては一夜を過ごすなんて、とてもじゃねぇけど許せねぇ」
「ちょ、中也?」
「最初からこの勝負は俺の負けなんだよ」
「……………」
「怖くて、太宰の言葉を信じられなくて、何時もの言葉のやり取りで、嫌がらせだったらどうしよう」
「……………」
「俺の気持ちがバレて、それで遊ぶ為に言われた言葉だったら、それを信じて答えて、嘘だと笑われたら、そう思ったら怖くて、あんな事言ってた」
「…中也」
「惚れたが負け。元々太宰に惚れてるんだから、落ちるも何もねぇ」
「…………」
「ごめんな、太宰の気持ちを弄んだつもりはねぇけどな」
そう言った中也は私を見て、悲しそうに笑う、けど私は聞きたい事をきちんと聞いて答えを欲しくて、中也に問いかける
「中也は私が好きだったの?」
「…………」
「中也」
「好きだった、それこそ相棒時代から」
「私は……僕は今すごく後悔してる」
「…………」
「もっと早く僕が言ってたら中也は僕のモノになってくれたって事でしょ?」
私が言った言葉に固まり中也は私を見つめる
「僕の気持ち、最近だと思った?」
「そうじゃねぇのか?」
「まさか、中也に出会って一目惚れして、僕を嫌っていても僕が求めれば、答える中也にどんどん好きになっていった。僕のわがままを聞く、僕が唯一全部の心を見せれて、許せる相手は中也だけだよ」
「……………」
「もっと早く手を出してれば良かった」
「おい」
「我慢したのがバカみたいだ」
「ちょっと待て」
「待たない」
「………」
「中也、私に、僕に落ちてくれた?」
私が笑って問いかければ、中也は仕方ないって顔をして、それでも声は嬉しそうに言う
「太宰、俺は太宰に惚れてるよ。とっくに太宰に落とされてる」
そう言った中也を抱きしめれば、中也の腕が背中を回る
「これで中也は私のモノになった」
「…………」
「手を出せる」
「おい」
「色々出来る!」
「まて、まて、」
そう言った中也を1度離し、中也の顎の下に手をやり上を向かせ私は中也を見つめ言う
「ずっと、ずーーーーっと我慢したのだから」
「だざい」
そして私は声に色を含ませ、中也が好きであろう低い声で言う
「私に好きにさせろ」
そう言って中也にキスをすれば中也は顔を赤くする。その顔をはとても可愛くて、私はまた中也に1つキスをする。
「所で中也」
「なんだよ」
「私も浮気は許せないからね」
「…………」
「色の仕事の時は報告。中也に告白とか来てくる馬鹿なやつがいたらすぐに報告」
「……………」
「安心して、私は中也一筋だから。心中の声はかけるかも知れないけど、中也が手に入った今、女なんてどうでもいい。あぁ、元々、興味はないけれどね」
「…怖ぇ」
「ん?何かな?」
「俺…早まったか?」
中也の言葉に私は笑う
「私に目をつけられてしまった時点で諦めてよ」
「…………」
「ふふ。中也、好きだよ」
「俺も…好きだ」
やっと聞けた中也からの好きの言葉に私は嬉しくて中也を抱きしめた。