献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第六.五話 後篇 もう大丈夫だと我を張る魏無羨に根負けした藍忘機は、左腕に導かれる旅を渋々再開したのだった。出立は譲ったのだからと道中の移動には藍忘機が我を張り、彼を抱き抱えるか[[rb:驢馬 > ロバ]]に乗せることが殆どだった。
身体が鈍るから少しは歩かせろと主張する魏無羨に、藍忘機が首肯することは殆どなかった。だが、その日宿泊する町に辿り着くと、渋々歩かせてやることもなくはなかった。藍忘機としては、それが最大限の譲歩だった。
自分でも驚きだったが、自らの手で美しく着飾った魏無羨を誰の目にも触れさせたくないと思う気持ちに負けない程、この美しい人が自分のものなのだと周りに振れ回りたく思うのだ。
心は得られていないけれど、強引とはいえ許婚として関係性を結んだのだ。この旅で彼の気持ちを少しでも惹けたらと、藍忘機は隙あらば魏無羨を甘やかした。
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