財海供養部屋で一人、自分のベッドでスマホをいじっていると、ドアが開く音が聞こえた。日吉は切原に捕まり連行されていたのを先程廊下で見た。人数が足りねーんだよ!と叫んでいたので、おそらく神尾や桃城あたりとゲームをするためだろう。すぐ戻ってくることはないから、消去法で海堂だ。
ビンゴ。風呂から帰ってきたのか、少し濡れた髪と赤みの残っている肌が財前には魅力的に映った。
「なあ海堂」
「なんだ?」
ベッドを降りて、海堂の近くに行く。
「これ、見てみ」
スマホを海堂が見やすいように傾けながら言う。素直に従った海堂がスマホを覗き込んだ。必然的に距離が近くなり、シャンプーの香りがふわりと届いて少しドキッとする。顔には出さずに済んだので、自身のポーカーフェイスに感謝した。
スマホに映したのは、猫の写真だ。隣の気配が揺れたのを感じる。
「!」
「可愛いやろ。この前遠山と歩いてたら、偶然この子猫がおったんや」
「か……毛並みが良いな」
「俺もそう思った。しばらくコイツと遊んで、帰る時に親猫も見かけたんやけど、ほら」
スワイプして、親猫と子猫を遠目から撮影した写真を見せた。海堂本人は気付いていないが、段々と顔が綻びているのを確認して話を続けた。
「親猫は分からんけど、子猫はごっつ人懐っこかったで。」
「そうか」
「おん。で、や。今から子猫に会いに行かん?」
「は?」
「触りたくなったやろ?俺もこれ見てたらまた様子見に行きたくなってな。せやから、一緒にどう?」
「おっ俺は別に!」
猫好きだということはもうバレているのに、頑なに周囲に隠そうとする。今だって例外なく猫に会いたいオーラが全面に出ているくせに否定しようとしている。そんなところも可愛いなんて思ってしまうのは重症だろう。
「それにお前、絶対にブログネタにするだろうが」
「今回はせえへん、約束する。写真も撮らん。フラッシュ焚いたら猫逃げてしまうしな。」
これでどうだと手札を切った。満更でもないようで、彼は独特な呼吸音の後、こう返した。
「…………仕方ねえ、つき合ってやる。」
「おおきに、あいつら帰ってくる前にちゃっと行って帰ってこよ」
「日吉たちは何してるんだ?」
「切原が引っ張って連れてったから多分ゲームちゃう?」
「そういえば桃城も馬鹿みたいに騒いでたな」
とここまで書いて飽きました。気が向いたら続きを書く。