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    真誠の選択〜ミコ×リドル〜
    『第2問』

    第2問(リドル過去捏造あり)

    また、空間だった。


    ミコ「は………………?まだあんの……?」

    リドル「もしかしたら無限にあるのかもしれないね」

    ミコ「ちょっ怖いこと言わないでくださいよ」

    ここに来るまでにオレはいくらか元気を取り戻し、先輩のちょっとした冗談にも返事ができるようになっていた。
    再び中央に置かれている紙に近づく、今度は瓶に入ったふたつの錠剤が隣に置かれていた。

    ミコ「かなりヤバそうを感じる…………」

    リドル「…………1つは耐え難い苦しみを、1つは全てを見透かす真実の目を……どちらになるかはお楽しみ……効き目は……15分」

    ミコ「…………これ飲むんですか?」

    リドル「そうだね。」

    ミコ「ゼッッッッタイ嫌です。」

    さっきの命令といい、今回の薬といい、気味が悪すぎる。
    今回だって、『耐え難い苦しみを』とかただの毒じゃん……まだ死にたくない……まじで……

    リドル「じゃあこのまま僕達は、飢え死にかな?」

    ミコ「ゼッッッッタイ嫌です。」

    リドル「どっちか選ぼうか……」

    ミコ「ウゥ……………………」

    頭を抱えながらその場に座り込む。俺だけならまだしも、先輩がいるなら話は別だ。
    オレは意を決して瓶を持ち上げ、中から錠剤を取り出す。

    ミコ「リドル先輩、俺に何かあったらそのまま進んでください。」

    リドル「ふふ……言われなくてもそうするよ。僕に何かあった時は、おわかりだね?」

    ミコ「おわかりです。任せてください。」

    2人で錠剤を見つめ、ほぼ同時に飲み込む。
    無味無臭の塊を何とか喉の奥に押し込み、一息をつく。寮長の方を見ると彼も、苦々しい顔をしていた。

    リドル「普通薬は水と飲むものなんだけどね……」

    ミコ「流石……魔法医術士を目指してるだけありますね…………」

    リドル「これくらいは常識だろう」

    ミコ「あはは……そうですね……」

    久しぶりに訪れた休息。あと何個、こんな命令は続くのだろう……
    何か別の話をしようと先輩の方を向いたオレは、驚きで目を見開いた。

    ミコ「!?!?!?リドル先輩!!!!!!」

    リドル「ッカヒュッ……ハァ…………ハァ………………」

    異常なほどの量の汗、限界まで開かれた目、そして荒い呼吸。
    慌てて駆け寄って先輩に触れた瞬間、オレの頭の中に大量の映像が流れ込んできた。

    ミコ「………………これ……は…………」





    机に向かってひたすら文字を書いている少年。目の前には冷ややかな目をした女性、しばらくすると女性は2言、3言少年に何かを告げると部屋を立ち去って行った。
    女性が去った後も休むことなく文字を書き続ける少年。よく見ると、リドル先輩に似ている。

    ミコ「ショタ…………リドル……?」

    そのまま彼のことを見ていると窓の外に影が現れた。リドルによく似た少年は窓に駆け寄り、鍵を開ける。外にいたのはトレイ先輩によく似た少年と、猫耳の生えた少年だった。

    「俺の……せ……に……来いよ……」
    「少し…らい……じょうぶだ…………にゃ〜」
    「ほんとに……?……なら……少しだけ……」

    少年は2人にどこかへ行こうと誘われているようだった。最初は躊躇っていたものの、最終的にはその瞳をキラキラと輝かせて家を飛び出して行った。

    ミコ「………………え?何……可愛いな?」

    場面は切り替わり、別の家のテーブルに少年は座っていた。子供達3人の前にはいちごの載った大きなタルト。
    少年はさっきと同じように瞳を輝かせ、ひと口ひと口を大切そうに口に運んでいた。

    ミコ「…………誘拐する…………か…………」

    タルトを3人で食べ終える頃には日も暮れようとしていた。
    少年は幸せそうに2人と別れ、家路についた。オレもその後ろを着いていく。
    家に帰った少年を待ち受けていたのは、地獄だった。

    「こんな時間まで!あの二人のせいね!」
    「ごめんなさい、ごめんなさい」
    「お黙り!二度とあの二人とは遊ばないで!」
    「ごめんなさい、許して」
    「貴方には立派になってもらわないと困るのよ!」

    泣きじゃくる少年を怒鳴りつけ、手をあげる母親。それを見て見ぬふりをする父親。
    外に出してもらうことはほとんど許されず、一日中母親の監視下の元で少年は日々を過ごしていた。
    次第に少年は目の光を失い、まるで機械のように淡々と勉強だけをするようになっていった。





    ミコ「…………なんだよ……これ」

    気がつくと映像は途切れ、オレは現実の世界に引き戻されていた。
    目の前には座り込んで何かをブツブツと呟く先輩。

    ミコ「…………………………せん……ぱい?」

    リドル「ごめんなさい…………許して……もうしないから……」

    ミコ「先輩?先輩!」

    リドル「僕が悪いの………………ごめんなさい……」

    ミコ「リドル先輩!」

    リドル「やめて…………………ママ…………叩かないで……」

    ミコ「ーーーッッ」

    どれだけオレが呼んでも、聞こえていないようだった。それどころか呼吸はどんどん荒くなり、苦しそうに息をするようになっていった。
    思わずオレは先輩を抱きしめて座り込む。オレは何も出来ない、過去を変えることも、この状況を変えることもできない。それが悔しくてたまらなかった。
    だから、少しでも辛さが和らぐことを願い必死で彼の小さな体を抱きしめた。再び止まることなく流れ込んでくる記憶。どれも、辛く悲しく、絶望するようなものだった。
    こんなにも大きく辛いものを1人で背負い込んでいたのか。そう思うと自分がどれだけ能天気でお気楽なのかを思い知ったようで恥ずかしくなった。

    ミコ「リドル先輩……!頑張ってください……」

    リドル「……う…………あ…………」


    しばらくしても薬の効果が弱まることはなく、先輩は苦しみ続け、オレの中には苦い記憶が流れ込んでくる。オレはどうしようも出来ずに薬の効果が早く切れることだけを願ってひたすら先輩を抱きしめていた。


    どれくらい時間が経ったのだろうか、気がつくと記憶は流れ込まなくなっていた。
    先輩に目をやると、依然辛そうな表情は変わらないものの荒かった呼吸は落ち着き、汗も止まっているようだった。

    ミコ「………………先輩…………大丈夫ですか?」

    リドル「………………………………ああ。問題ない。」

    ミコ「絶対大丈夫じゃないでしょ。」

    先に立ち上がり、先輩が立ち上がるのに手を貸す。多少はふらついてはいるが何とか歩けるようだった。

    リドル「君は大丈夫なのかい?」

    ミコ「ハッエッオレっすか?オレは大丈夫ですよ!」

    リドル「君は恐らく真実の目の薬を飲んだと思うんだけど、何か見えたのかい?」

    ミコ「あ……………………」

    これは言うべきなのか?いや、絶対言うべきではない。オレが見たのは多分リドル先輩のトラウマだ。誰にも言ってない、隠している記憶をオレは覗いてしまった。その事実を知ってしまったら先輩に嫌われてしまうかもしれない。

    ミコ「……洞窟がスケスケになりました。」

    リドル「は?」

    ミコ「俺の薬、飲んだら洞窟がスケスケになったんです。前通った空間とか、これから先の空間とかが見えました。」

    リドル「なるほどね、そういう薬だったのか」

    オレの返答になんの疑問を抱くことなくリドル先輩は納得し、言葉を続けた。

    リドル「僕の薬もそこまで苦しむものではなかったから心配は無用だよ。ただちょっと驚きはしたけど……」

    ミコ「そう…………ですか…………」

    絶対大丈夫なわけないだろ。と思ったが下手なことを言ってバレてしまうのも良くない。そう思いオレは小さく返事を返した。

    リドル「さて、まだ先はあるのだろう?こんな所でモタモタするのは良くない。行こう。」

    先輩は僕の手をクイッと軽く引き、先へと歩き始める。手を引き?手、触られた……?

    ミコ「ウォェ……………………」

    リドル「!?!?????大丈夫かい?」

    ミコ「あっ大丈夫です。オレの心の問題です。」

    リドル「そ、そうかい。大丈夫なら行こう。」

    すたすたと歩き始める先輩の後をオレは触られた手をひたすら撫でながらついて行った。
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