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    mochudayo

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    mochudayo

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    モチュリーヌの能力の話。

    『モチュリーヌ』 あたしの想像力(イマジン)はね、自分の血で武器を作ることなの。

     …どうしてそんな能力なのかって?
     そうね、ちょっと変わってるものね。いいわ、今日はお客さんも少なくて暇だし、教えてあげる。

     あのね、あたし、ここに来るずっど前に、男の人に乱暴されたことがあるの。話を聞いてくれない人でね、やめてって何度言っても、ずっとひどいことをするの。とっても怖かったわ。
     それでね、痛くて苦しくてぼんやりしてきた時に、自分の流した血溜まりの中にハサミが落ちてることに気づいたの。あたしはとにかく解放されたくて、無我夢中でそれを掴んで相手の目を刺したわ。
     そしたらやっと手を離してくれてね、急いで逃げたんだけど…身体中が痛くてなかなか走れなくてね、あっという間に追いつかれちゃった。
     男の人はとっても怒ってて、何かを叫びながら近づいてきたわ。あたし、まだ怖くてね、その場に座り込んじゃったの。ずっと血が流れていたから足元は血塗れで、おしりの下が気持ち悪いなって思ったのを覚えているわ。

     こんなに痛くて苦しくて気持ち悪いまま死ぬのかしら、って悲しくなっちゃってね。

     そしたらね、あたしの座った血溜まりの中に、小さな…本当に小さな、玩具みたいな銃が『生まれた』の。血がひとりでに動いて、うねって、あたしの右手のすぐ側に現れたの。

     あたしはそれを握って、このあいだ見た映画みたいに、相手に向けて引き金を引いたわ。銃って、とっても小さくても反動がすごいのね。肩がもげちゃうかと思っちゃった。
     入ってた弾を全部打ち込んだら男の人は倒れたけど、まだビクビク動いていたわ。また追いかけられるのは嫌だったから、もうひとつ銃が欲しいなって思って。そしたらね、また『生まれた』の。

     あたしはそこでやっと、自分の血が武器になることを理解したわ。流れ落ちた血を全て同じ銃に『生まれ変わらせ』て、もう肩はもげちゃってもいいって気持ちで、全部を男の人に撃ち込んだわ。
     終わった頃にはその人も動かなくなって、やっと安心できたの。

     あたし、嬉しくてね。この力は神様があたしにくれたギフトなんだって感じたわ。だってあたし、その時までずっと、男の人に言われる通り『いい子』にしていたもの。神様って、いい子には祝福を、悪い子には罰を与えるんでしょう?
     それであたし、この力は自分のために使おうって決めたの。だからこの街に来たのよ。
     ここはいろんな美味しいものがあるって聞いたから。








     ……どうしたの?
     そのお顔は、ええと、どんなお顔?
     あたし、変なこと言ったかしら、言ったかしら?
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