🍊育つ雑草「それじゃあみんな、お休みなさい」
夜明けからまたよろしく、と手を振りつつマスターはテントの中へ消えた。休眠を必要とする人間の娘が吸い込まれていった入り口のすぐ近くへ、盾兵の少女がいそいそと腰を落ち着け直すのを見たビーマはすっくと立ち上がった。
「……さて、ちょっくら行ってくるかね」
この場所をこの日の野営地と定めるまでに、近隣を彷徨いていた雑魚はあらかた掃討済みだが、時間が経ってまたどこからか湧き出しているとも限らない。夜間のうちに何度か交代で出る哨戒の、まずは第一陣だ。
お願いしますと律儀に頭を下げるマシュの笑顔に応え、幾分勢いを落とした焚き火の横をぐるりと巡る途中で、ビーマはふとあらぬ方へ足を向けた。
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