一時限目 明日は休みだと彼が言うから、それなら泊まれよと声をかけたのはオレの方だ。返事は快いものだった。
交際を始めて三ヶ月。流石に、そういった声掛けに緊張することはなくなった。村雨は良ければ良いと言うし、都合がつかなければ無理だときっぱり断ってくれて、それに気を悪くした風になることもない。そのことがオレを大胆にさせたのもある。もう何度も声をかけられて、こちらからも誘いをかけてを繰り返した。
声を上げる瞬間の少しの高揚と動悸は、ずっと変わらないが、それでも。
「ご馳走様」
「おう、お粗末さま」
カトラリーを下げるついでに食後の茶を置く。あとに残る用事は入浴と寝ることだけなので、ノンカフェインのものを出した。村雨はまた律儀に「ありがとう」と返してくる。
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