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    つかもと

    @N516takamat
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    つかもと

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    またのべ○すとを調教してイブカミ書かせたやつ(編集:私)
    キスまでのド健全です。そして乙女のKMOになってしまった。AIくんの趣味だと思います。ANちゃんへの失恋からのIBへの恋自覚みたいな流れです。

    恋するKMO『ごめんね。私、神尾くんとはお友達のままでいたいの……』
    そう言い、神尾からのラブレターを突き返すあの子の姿が焼き付いて離れない。
    神尾は、ある女子に想いを告げたのだ。しかし結果は惨敗だった。
    そもそも恋愛対象として見られていなかった……。自尊心の高い中学生男子としてこれほど屈辱的で虚しい結果などあるだろうか。
    しかし、純情な神尾は異性からのその評価に激昂することはなく、そして素直に受け止めてしまった結果、帰り道でみっともなく泣いた。
    「馬鹿だね。一度フラれたぐらいで人生終わったみたいな顔して泣いてさ」
    堤防の上、夕日に照らされながら蹲っているといつの間にか隣に親友の伊武がいた。
    「男の癖にエンエン泣いてみっともないよ。ブスが余計にブスになってるじゃん」
    「ぐすっ……う……るせぇ……ッ!」
    「ハイハイ。ほら、ティッシュやるから拭きなよ」
    伊武はぶっきらぼうにポケットティッシュを差し出した。
    いらねぇよ!と突っぱねたかったが、伊武の事だから親切心を無下にすると余計に毒舌が飛んでくること請け合いだろう。ぐっと堪えて涙を拭く。
    「なぁ深司……俺……そんなに男としての魅力ねぇかな……」
    神尾が目を擦りながらボソッと言うと、伊武は呆れたように鼻で笑った。
    「何?今頃気付いたの?」
    容赦のない言葉に神尾は再び泣きそうになる。
    しかし、伊武は続けてこう言った。
    「ま……俺からすればそういうところも悪くないと思うけどね……」
    「……え?」
    「見てて面白い……みたいな」
    伊武はそう言いながら神尾の頭に手を伸ばすとクシャクシャっと髪を撫で回した。
    「うわっ!なにすんだっ!」と思わず声を上げると、「ほら、いちいちリアクションが面白い」と言ってクスクス笑う。
    コイツって本当いい性格してんな……と思いつつ、深司って、そんな子供みたいに笑うんだな……と新たな発見をした気にもなった。
    「……まぁ、元気出せよな……神尾がくよくよしてるのってちょっと気持ちが悪いっていうかさ。まだ泣き言が止まらないって言うんなら俺が聞いてやってもいいし」
    いつも不機嫌そうな顔をしているくせに、今日に限っては妙に優しい。
    神尾は何だか恥ずかしくなり、視線を逸らす。そして何故か胸の奥が苦しくなった感じがして、モヤモヤとした感情を覚えた。
    その時、伊武は何かに気付いたような表情を浮かべると、神尾に向き直り、その胸にトンっと手を当てた。
    「どうしたんだよ深司……」
    神尾の言葉を遮るように伊武は神尾の目を見つめながら口を開く。
    「……なんでもない。早く気づけるといいね」
    伊武の顔が、神尾のすぐ目の前にある。伊武の手は未だ神尾の胸に置かれたままだ。
    「……?」
    神尾はいつの間か自身の心臓の音が早くなっているような気がした。
    伊武の目が真っ直ぐこちらを見ている。その瞳の中に自分の顔が見える。
    神尾は何も考えられなくなり、伊武に見惚れてしまっていた。
    「あーあ……こりゃダメそうだなぁ……」
    伊武は神尾から手を離すと、大きくため息をつく。その様子で我に返った神尾は慌てて立ち上がった。
    「お、お前は一体何を言っているんだ!?俺は別に……」
    「はいはい……じゃ、帰るよ。日も暮れてきたしさ」
    「なぁ!待ってくれよ深司!」
    「なに?」
    伊武は立ち止まり、振り返った。夕日のせいなのか頬が少し赤くなっているように見えた。
    「そ、その……ありがとな……」
    伊武は一瞬キョトンとするとすぐにまた不機嫌そうな顔をした。
    「なんのこと?全然分かんないんだけど」
    そう言って再び歩き始める伊武を追いかけながら、きっと明日になればまたあの子の事を考えてしまうだろうなと、神尾はぼんやりと思った。
    それからしばらくして、神尾はようやく自分が恋をしている相手が伊武であるという事に気づくのだが、それはもう少し先にの事になる。
    ***

    「お、俺……深司の事が……好きなのか……?」
    部活が落ち着き、上級生は受験で慌ただしくなった頃。まだ2年生で時間に余裕のある神尾は、写真フォルダを遡ったり、なんとなくこの一年を振り返っている内にそんな気づきを得た。
    思い返せば伊武は、いつも神尾の隣にいた。テニス部の先輩に虐げられた辛い日々も、初めて大会で勝ち上がり仲間と喜んだ日にもその時間を共有していた。テニス部の仲間と過ごした時間は特別なもので、まさしく苦楽を共にした仲と言えるだろう。
    その仲間たちの中でも伊武は神尾にとっては特別大きい存在だった。休日も何かと言えば伊武を誘い、伊武に誘われ色々なところへ行ったりした。毎晩電話で話すので互いの声を聞かない日だってない。最早伊武は神尾の日常に欠かせない、普通の友達を超えた存在になっていた。何よりも、神尾が失恋して泣いていたとき、一番近くで慰めてくれたのは他でもない伊武だった。
    神尾はふと、去年のクリスマスを思い出す。
    「そういえば……去年、深司とイルミネーション見たよな……」
    今よりも幼く、無邪気に「キレイだね」と言っていた伊武。
    そんな伊武の楽しそうな表情を思い出すと、神尾の胸はぐっ……と締め付けられるような、少し懐かしいような感覚を覚えた。
    一度似たものを味わったので理解できた。これは……間違いなく恋だ。
    「お、俺……男なのに……深司好きになっちゃってどうすんだよう……!」
    また自分は叶わない恋をしてしまった。しかも前回と違い、相手は親友で同性なのだ。
    神尾は深く項垂れる。うっかりこの想いを吐露して伊武に拒絶されようものなら今度こそ立ち直れないだろう。
    「言えない……いや、言わない……深司とは今まで通り友達同士のままで傍にいよう……」
    神尾はそう決意し、自分の胸の中に秘めておく事に決めた。
    ……しかしながら恋心というものは厄介なもので、一度自覚してしまうとこれまで通りの自分を装うのは難しいものである。特に、神尾アキラという単純で純情な男は。
    「おはよ」
    「お、お、おぉ、おはよ……」
    「……どうしたの?なんかキモいんだけど」
    「べ、別に何もおかしく……キモいってなんだよ!い、いつもどおりだぞ俺は!」
    「はぁ……」
    伊武に声をかけられ思わずどもってしまう神尾を見て、伊武は訝しげなため息をついた。
    「……変なの」
    「い、いいから行こうぜ!」
    と言いつつも神尾は伊武と歩を合わせられず、すたこらと通学路を突き進んだ。
    (し、深司の顔が見れねぇよぉ〜!何だよこれぇ……!)
    昨日までは普通に会話をしていたはずなのに、いざ伊武を目の前にするとうまく言葉が出なかった。顔が熱くなり、鼓動はどんどん速くなっていく。伊武に対してこんな事になってしまうのは初めてだった。
    「……ねぇ」
    「な、なんだ!?」
    追いついてきた伊武に肩を叩かれ、神尾はビクリと跳ね上がりながら振り返った。
    「……なにかあったんだろ?」
    「な、なにも!何もないぞ!」
    「ふぅん……」
    伊武は怪しげな目つきで神尾を見つめた。その視線に耐えきれず、神尾はそっぽを向いてしまう。
    「な、なんだよ……」
    「別に……まあ、もし悩みとかあるなら聞いてやるからさ。俺、一応キミの親友だし」
    「あ……」
    伊武の言葉を聞いて、神尾は何故か胸に刃を突き立てられた感覚に陥った。親友。そう、神尾と伊武は"親友"なのだ。伊武もそう思ってくれているのだ。それなのに自分は……。
    「深司……あのな、実は……」
    「なに?」
    神尾は意を決して伊武に打ち明けようとした。しかし……。
    (やっぱり言えねー……だって、嫌われたくない……俺が告白なんてしたら……もう……)
    神尾も伊武もお互いの事を親友だと思っているからこそ、今の関係を壊すなど出来なかった。
    そして何より、伊武に嫌われたくない、伊武を困らせたくないという気持ちが強くあった。自分が気持ちを我慢して、それでずっと親友でいられるのならそうしたいと思った。
    「やっぱりなんでもない……気にしないでくれ」
    神尾は目を伏せてそう言った。伊武は「あっそ」と言って、それ以上追求する事はなかった。
    ***

    『そういえば、親戚に遊園地のチケット2枚貰ったんだけどさ。神尾は日曜って空いてる?親戚の人は妹と一緒にどうぞって言ってたんだけどさぁ……俺んち妹二人だし、それにまだ小さいからちょっと色々と無理があるんだよね……だから神尾に来てほしいんだけど……』
    日課の通話で伊武から誘われた休日。
    いつもであれば二つ返事で了承するはずの神尾であったが、今回ばかりは即答できなかった。
    「深司の誘いは嬉しいけど……悪い!ちょっと用事があって……」
    「……へぇ。用事ってどんな?」
    神尾の声色から何かを感じ取ったのか、伊武の声には鋭さが感じられた。ここで嘘をついても伊武にはバレてしまうだろう。神尾は言葉を濁しつつ、正直に話す事にした。
    「あ、あのな……深司……」
    「うん」
    「俺、好きな人がいるんだ……!」
    「ふぅん……そう」
    神尾は伊武の反応を待った。
    「……誰なの?その人の事を好きになった理由って何?」
    「い、言えない……でも、その……俺にとってはすごく大事なことで……」
    「……つまり、神尾はその人の為に俺と出かける事が出来ないって事?何、もしかして彼女とデートでもすんの?」
    「い、いや、そうじゃないんだ……だけど……」
    神尾は言葉を詰まらせた。嘘をつくのは苦手だ。かと言って洗いざらい全て本当のことを話してしまえば、伊武との関係にヒビが入る。神尾はそれが怖かった。でも、ずっと黙っているのも苦しい。既に余所余所しい態度を取ってしまっているのに、それを続けて関係が悪化してしまっては本末転倒だ。
    「こう言うのもなんだけどさぁ……神尾って本当に馬鹿だよね」
    「な、なん……」
    「キミに好きな人がいようがいまいが、俺は別にどうとも思わないよ。今まで通り普通に付き合っていけばいいだろ。それとも何?俺とはもう遊びたくない?彼女が出来たら俺はもう要らないってワケ?」
    「ち、違う!お、俺……!」
    (だ、駄目だ……!言うな……!)
    誤解を解きたい。しかし言ってしまっては関係が壊れる。どうするべきか答えを出せないままぐっと飲み込んで抑え込んだ言葉は、喉を焼くような熱をもって全身に広がった。
    「俺……おれ……っ」
    いつの間にか溢れ出た涙は、熱い頬を冷やすように流れ落ちていく。こんな情けない姿を何度も親友の前に晒したくはなかった。伊武が電話の向こうで呆れているんじゃないかと思うと、神尾はさらに胸が苦しくなった。
    「あー……もう……」
    受話器の向こうから、小さなため息が聞こえてきた。伊武のため息は神尾を深く傷つける。嫌われた。そう思った瞬間、再び熱い雫が目尻から零れた。
    「神尾……泣くなよ。いい歳こいてみっともない……」
    「ごめん……深司、俺……俺っ」
    「ほら、鼻かめって。仕方ない奴だなぁ……」
    「ごめ……」
    「さっきから何謝ってんの?そういうとこだよ。キミはさ、普段はやかましくて鬱陶しいノリのクセになんかナイーブ過ぎるんだよな。もうちょっと図々しくてもいいんだよ。俺にくらいわがまま言ってみなよ。迷惑だなんて、俺は思ってないよ」
    いつも通りの、しかし少しだけ優しい様子の伊武の声色に、神尾の心は更に痛む。
    「深司……俺、俺……ッ」
    苦しい。伊武の事が好きで、好きで、苦しくってしょうがない。好きだ。そう伝えたいのに込み上げるような嗚咽が言葉を堰き止める。
    「あー……もう、面倒くさいなぁ……」
    「えぐっ……うぅ……っ」
    「今からいつもの公園来れる?俺も行くから」
    伊武の言葉に神尾は慌てて時計を見る。既に夜の11時を回っていた。いつもこの時間まで二人で通話している事が多いのだが、直接会おうというのは初めてだった。
    「な……んで……?」
    「いいから。神尾、言いたいことあるんでしょ。俺もあるし。顔見たほうが話せるだろ」
    「え……でも……」
    「すぐ準備して行くから。神尾も急いでね。じゃ」
    プツリ、と通話が切れた。
    「深司……」
    顔を見て想いを伝えるなど、今の自分には出来る気などしなかった。しかし……
    「会いたい……」
    そんな素直な感情が湧き上がる。今すぐ会いたい。伊武の顔を一目見たい。いつも通りのやり取りをしたい。神尾はベッドから立ち上がると、泣き腫らした顔を水で洗って外へ出た。

    「神尾、急げって言ったよね。何やってんの?」
    伊武は不機嫌そうな表情を隠すこともせず、神尾に文句を言ってきた。だが、そんないつもの通りの伊武の様子に、神尾は心底安堵する。
    「ごめん……!」
    「はぁ……。ホント、神尾って手間がかかるよな。俺がいないとダメなんじゃない?」
    「うん……そうかも……」
    「は?そこは否定しろよな。調子狂うじゃん……」
    「う、うん……そうだな……ごめん」
    神尾は素直に伊武の言葉を受け止める。いつも通り伊武に接せられて、自分の心が落ち着いていくのを感じる。
    「深司……あのさ……」
    「……なに?」
    「……俺さ、お前の事、好きなんだ……」
    「……へぇ、そう」
    「うん……ごめんな、気持ち悪いよな……」
    神尾は自嘲気味に笑う。その様子に伊武は一瞬言葉を失ったが、すぐに普段通りに返事をした。
    「別に」
    「え?」
    「別に、気持ち悪いとか思わないけど」
    伊武はそうボソッと呟くと、そのまま唖然としている神尾の横を通り過ぎてブランコに座った。
    「……おい、早く隣座りなよ」
    「え、あ、はい……」
    神尾は恐る恐る伊武の隣に腰掛ける。そして無言のまま、二人は夜空を見上げた。冬の澄んだ空には満天の星が瞬いている。
    「……星、綺麗だな……」
    「うん」
    「綺麗だけど……遠い……」
    神尾はそっとかざす様に夜空に手を伸ばした。星が掴めない事など百も承知だ。
    「なんだか詩的だね。神尾ってそういうタイプだっけ」
    伊武はそんな神尾の様子を見てクツクツと笑っている。神尾は頬を赤らめながら照れ隠しをするかのように「うるせー」と吐き捨てるように言う。
    「……じゃあ、俺は?」
    「へ?」
    伊武の問いの意味がわからず間の抜けた声を上げる。すると伊武は神尾に向かって手を差し出した。
    「手、伸ばしてご覧」
    「……?……こう?」
    神尾はおずおずと差し出された伊武の手の上に、自分の手を乗せた。すると伊武はその手をギュッと握ってくる。
    「ちょっ……深司!?」
    突然の事に驚く神尾を他所に、伊武はフッと笑って同じ問いを投げかけた。
    「星は遠いだろうけど、じゃあ俺は?」
    ギュッと握られた手からじんわりと熱を感じる。冬の寒さでお互い冷えている筈なのに、人肌が触れ合うことでそこはじんわりと熱を持つ。その温もりは心地よく感じた。
    「深司は……」
    「うん」
    「近いよ、すごく近く感じる」
    神尾は笑顔でそう答える。そんな神尾を見て、伊武も小さく微笑み返した。
    「でしょ」
    伊武はそのまま立ち上がり、ブランコから少し距離を取る。神尾もそれにつられて立ち上がった。
    「俺さ、神尾が俺に惚れてるって事ずっと前から気づいてたよ。だから、待ってた」
    「え……そうなのか……?」
    「うん。いつも側にいるんだし、気付かないわけないだろ」
    「お、おぉ……」
    「あれ、意味通じてる?」
    「……もうちょい簡単に」
    「……じゃあ、一回しか言わないけど」
    伊武は大きく息を吸い込む。そしてゆっくりと吐き出すと、意を決したように口を開いた。
    「俺も神尾のことが好き。ずっと前から」
    伊武の言葉に神尾の心臓がドクンと跳ね上がる。まさか、自分が想いを寄せる相手が同じように自分を想ってくれていたなんて……そんな事が有り得るのだろうか。夢を見ているような気分だった。
    「ホントに?」
    「こんな嘘ついてどうするんだよ」
    「でも……」
    「信じられないなら聞いてみる?」
    伊武は神尾の手首を掴むとその手のひらを自分の胸に当てさせた。神尾は不思議そうな顔をしたが、すぐに意味を理解する。
    ドクンドクンと速くて大きな鼓動が手のひらに伝わったのだ。
    「深司も……ドキドキしてる……」
    神尾は自分の顔が真っ赤になるのを感じる。それを見た伊武も少し照れたように視線を逸らした。
    「そりゃあ、好きな相手に触れてたら多少は緊張くらいするよ」
    「俺達……両思い?」
    「まぁ、そうなんじゃない?あーあ、なんか恥ずかしいなぁ……」
    伊武は珍しく狼籍える。普段は表情の変化が乏しい彼だが、今は頬が赤く染まっていた。
    「深司って照れることあるのか」
    「失礼な奴だな。俺のことロボットかなんかと思ってるの?」
    「へへへ……深司が可愛いな」
    「うるさいな。調子乗んないでほしいんだけど」
    伊武はぶっきらぼうにそう言うが、神尾は伊武の手を握って嬉しそうにニコニコとしている。
    「でもホントに嬉しいな……。深司に好きになってもらえるなんて思わなかったよ」
    「はぁ?言っておくけど、俺の方が片思い歴長いと思うけど」
    「え?」
    「さっきも言っただろ。ずっと前からって。神尾が杏ちゃんに夢中になってた頃から俺はキミの事見てたんだから」
    「マジか……」
    「マジだよ。大体神尾は鈍感過ぎるんだよ。人の気持ちにも自分の気持ちにも。俺がどんな気持ちで今まで過ごしてきたかわかる?わかるわけないよなぁ」
    「うっ……。だ、だって、俺とお前は友達っていうか親友っていうか……」
    「もう友達じゃない」
    「へ?うわっ!」
    伊武は神尾の腕を引っ張るとそのまま自分の方へと引き寄せた。バランスを崩した神尾は伊武の胸に倒れこむ形となる。
    「深司……!?」
    「……付き合うでしょ?俺達」
    伊武は神尾を抱き締めながら耳元で囁く。その言葉に神尾の顔はボンッと音を立てて爆発したかのようにさらに真っ赤になった。
    「そ、そそそ、そう……だな……!つつつつつ、付き合うんだもんな……!?」
    「神尾……すっごい動揺してるね」
    「お、落ち着け俺……深呼吸深呼吸……」
    神尾は一度大きく深呼吸するとゆっくりと伊武から離れる。その動作があまりにぎこちないので伊武は揶揄うように笑った。神尾は恥ずかしさを隠すためわざと怒ったような口調で答える。
    「笑うなって……仕方ねぇじゃん。急に抱きしめられたらビックリするだろ」
    「何、嫌だった?嫌ならもうしないけど」
    「い、いや……別に嫌じゃなかったよ。ただ、ちょっとびっくりしただけで……」
    「じゃあ……もっとしたいんだけど、いい?」
    伊武はゆっくりと神尾に近づき、両手を彼の背中へと回す。今度は先程よりもしっかりとお互いの身体が密着し、鼓動も熱も体温も全て伝わってくる。神尾は再び心臓がバクバクとなり始め、口から飛び出しそうになるのを感じた。
    (なんだこれ……ヤバいぞ)
    伊武の吐息が自分の頬にかかる。それだけでもかなり心臓に悪いのだが、更に彼の唇がゆっくりと近づいてくるのを見て神尾は思わず目を閉じる。しかし、いくら待っても唇に柔らかい感触はなかった。不思議に思った神尾は恐る恐る目を開けるとそこには悪戯っぽく微笑む伊武の姿があった。
    「すごい間抜け面してる」
    「このぉ……!なんて意地の悪いヤツ……!」
    「俺のそういう所も好きなクセに」
    「うわっ、自惚れすぎだろ!」
    「自惚れもするよ。やっとキミを手中に収めたんだから」
    伊武の言葉に神尾は何も言い返せなかった。図星だったからだ。それに伊武の性格上、冗談ではなく本気で言っているのだとわかる。
    「だからこれからは遠慮なくいくよ。覚悟しておいてよね」
    「な、何を……?」
    「俺がどれだけ神尾のこと好きか教えてあげるよ」
    「ちょ、ちょっと待て……心の準備が……!」
    「ウソつけ。今キス待ちしてたクセに」
    伊武はそう言うと神尾の顎をクイッと持ち上げる。神尾は抵抗しようとしたが、その前に伊武に口を塞がれてしまった。そしてそのまま何度もキスをされる。神尾は恥ずかしさと驚きで頭が混乱したが、それでも必死に伊武の想いに応えようとぎゅっと目を瞑るのだった。
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