Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    Elisabethg0328

    @Elisabethg0328

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 21

    Elisabethg0328

    ☆quiet follow

    ③ 仔犬リが暑くて廊下に落ちてたらヌさんからアイスを貰うはなし(ヌヴィリオ)

    注意:なんでも許せる方向け
      :ほぼ現パロ

    普段リはいつもの成犬な彼だけどたまにこうして物理的に仔犬になってしまう、というわんこのリの設定。
    ヌさんはこの世界でも審判官だし人じゃ無い。

    ばくだんあいすとこいぬ でん、と廊下に仔犬が転がっていた。

     いつものように外へ遊びに行ったと思えば、どうやら暑さに耐えかねて帰ってきていたらしい。まだ五月の半ばだというのに日差しはそれなりに強く、加えてリオセスリの毛並みは黒色が殆どなので熱をよく吸収するのだろう。廊下は日が当たらず、風もよく通るし床も冷たいようで、しっぽからやわらかな頬までピッタリと床についていた。無防備な姿で、外敵のいない、ヌヴィレットの居る家の中だから出来る姿だ。
    「リオセスリ殿」
    「んー……」
     お昼寝でもしているのかと思えばそうでは無いらしい。ただ転がっていただけのようで、うつ伏せから仰向けへとごろんと転がった。あぢ、と短く声を上げてヌヴィレットへと手を伸ばす。リオセスリの小さいその手を取ってぶらんと持ち上げ、片手で抱き上げた。
    「確かまだ……アイスが残っていたな」
    「あいす……」
     ぴくりと耳が動いてしっぽが揺れる。うん、と頷いてキッチンへ向かう。小さな手がヌヴィレットの服を掴んで、ふわふわしたしっぽは彼の足をぱたぱたと叩いている。
     冷凍庫を開けて、一番上にあった白くて丸いアイスを手に取って閉じた。袋の端を摘んで、反対側を噛んで引っ張る。珍しい開け方は、リオセスリを降ろすか降ろさないかを天秤にかけた結果だった。
     先端の飛び出した白くて丸いアイスが袋から出てくる。
    「持っていて」
     冷たいアイスをリオセスリが両手で受け取る。引き出しからハサミを取り出して、何をするんだ、とじっと見つめるリオセスリが持ったアイスの飛び出した先端をちょきん、と切り落とした。
     じわり、じわ、と溶けたアイスが切った先からとろりと出て仔犬の目が輝いた。たべていい? と見上げた仔犬に頷けば、ぱくりと小さな口が銜える。ちう、と吸う音をさせて機嫌良さそうに耳としっぽが動いているのが酷く愛らしい。
     冷蔵庫から水を出してグラスに注ぐ。火照った身体に冷たい水が全身に沁みるようだと思った。
     以前フリーナから貰ったアイスたちだが、今リオセスリが食べているアイスは何という名前だったか、と思い返してみる。
     確か龍のたまごだと言っていた気がする。「たまごの形によく似ているだろう?」と笑顔を浮かべていたが、龍の卵はこんなものではないとヌヴィレットは眉をひそめてしまった。これはバニラ味だけどチョコレート味もあって、と説明してくれて、最近はバニラがお気に入りなんだ、と教えてくれた。それをヌヴィレットは仕事をしながら頷いたいたのだが、カノジョはもう一つ名前を言っていた気がする。
    「僕が思うに、たまごというよりは……」たしか、なんだったか。
     あぐあぐとリオセスリがアイスに歯を立てる。中身が少なくなり、口の部分が細長くなり、膨らむ前の風船のようになって来ていた。ばちん、と咥えて引っ張る姿に、ちぎれてしまいそうだと思った瞬間。

     ばちん!

     白い液体が噴き出して飛び散る。
     歯を立てて、勢いよく引っ張ったせいか穴が開き、そこから裂けたらしい。当然、リオセスリの顔に飛び、服を汚し、それからヌヴィレットの顔まで、液体になったアイスが飛んだ。
     驚きで二人が硬直する。ぱちぱちと目をまん丸くして理解出来ていない様子のリオセスリを見て、ヌヴィレットは思わず、ふは、と声を上げた。
    「っく、ふ、ふふ、いや、すまない、驚いてしまったな、ふ、ふふ……」
    「……?、??」
    笑いを堪えようとしているのに、突然爆発したアイスと、気付けばべちゃべちゃに汚れてしまったこと、それから声を上げて笑うヌヴィレットに仔犬らしからぬ怪訝そうな顔を浮かべて首を傾げた。
    「ふふ、歯を立てたから、穴が空いたのだろう。君の歯は、とても立派な……歯をしているゆえ」
     立派なのは大人の時だけだ。今は可愛らしい乳歯の犬歯である。
     むう、と怒るリオセスりがあまりに愛おしくて、ヌヴィレットはたまらなくなった。そして、フリーナに言われたもう一つの名を思い出して、その名の方がふさわしいと、また肩を震わせた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺👍💖💖💖💖💖☺☺☺☺☺☺☺☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Elisabethg0328

    DOODLE② 仔犬リが枝拾ってはしゃいだら池に落ちたはなし(ヌヴィリオ)

    注意:なんでも許せる方向け
      :ほぼ現パロ

    普段リはいつもの成犬な彼だけどたまにこうして物理的に仔犬になってしまう、というわんこのリの設定。
    ヌさんはこの世界でも審判官だし人じゃ無い。
    いぬかきのこいぬ「ちょっとそこまで」
     そう言って出て行ったリオセスリが戻らない。
     とはいえ時間でいえばまだほんの一時間ほどしか経っていない。ヌヴィレットの執務机の上には殆ど書類は残って居らず、アフタヌーンティーまでに戻る筈の仔犬が帰らない。とはいえ、こちらもあと一時間ほどあるのだが。
     彼が側にいないのは落ち着かない。いくら普段は成犬でも、今だけは仔犬になっているのだ。心配しても仕方が無いだろう。ゆっくり席を立ち上がり、いつもなら彼が昼寝をしているはずの窓の側を見た。それから窓を開けて、テラスへと出る。
     静かな場所で過ごしたいために、広大な土地を所持しているヌヴィレットの見渡す場所殆どが彼の敷地内だ。適度な運動が出来るようにと広く走り回れる土地で、殆ど人と関わらない自然を選んだ。以前、リオセスリを引き取って暫くした頃に家へ強盗が入った事がある。ヌヴィレットを守るために彼が怪我をしたことで、引っ越すことを決めたのだ。セキュリティーが以前とは比べものにならないくらい今は厳しい。何人たりともこの土地へは勝手に足を踏み入れることができないように手配した。安全な箱庭。他者から見れば檻のようにも見えるかもしれない。故に、使わず貯め込んだ金をこういうときに使うべきでは? とかなりの額を入れて買い取った土地だった。お陰で仕事へ行くには少々遠いが、ヌヴィレットは現状とても満足していた。
    2025

    recommended works