【2024/05/04新刊】Sorrows【本文サンプル】 ベルギャー星は、他の星から「弱きを助く剣」と称えられ、その一方では「星を挙げた戦争屋」とも揶揄されていた。
異なる星同士の、「宇宙戦争」と呼ばれる争いは、つまるところ異なる常識同士の押し付け合いだった。
何万光年も離れた星々の間において、常識の物差しが一定であることは殆どあり得ない。停戦の勧告を受け入れる常識のない星も、疲弊したら戦いを止めるということができない星も存在している。勝った、あるいは負けたの明確な線引きは宇宙間の戦争には存在しない。
だからこそ、どちらかが完全に戦闘を続けることができなくなるまで繰り広げられ続ける。どちらかの星が根絶やしになり、殺す対象も墓を作るものも居なくなるまで。
15323