形 「カカロット。」ないし、孫悟空は“ブロリー”という存在を恨んではいなかった。
気に掛けたことすらなかった。
ただ、仄暗い微睡の中で誰かが泣き喚いたのを覚えている。
混沌とした記憶では、隣同士だった事や知らず理不尽な怒りを買っていた事なぞ知る由もない。
何を以て恨まれるのか、てんで見当のつかない話ではあったが、悟空には何か一つ謝ろうとする気持ちがあったらしい。
自身の記憶には残らずとも、かつての自身は心が酷な人間だったのかも知れないと悟空は思った。
更に戦闘種族の血を引いているという事実もある。
育ての親である孫悟飯に出会う迄・・・または崖から落ちる迄の間に、何か一つでも悪事を働いていたとしたら?
それこそ命の買い付けを。
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