9月30日 最後のキャラメルアイスドルチェ「キャラメルアイスドルチェ、食べ収め、いきます」
「九月ももう終わりか……残暑がありがたい」
九月三十日、帝国図書館の裏門にてボードレールはラヴクラフトともにティーハウスに行こうとしていた。
台風前のこともあり、ボードレールはラヴクラフトとティーハウスに行く約束をしていて今日果たされるのだ。
ラヴクラフトの目当ては九月限定のキャラメルアイスドルチェである。
「本当に早いものです」
「全くだ。明日には十月、そしてハロウィンも近い」
「! ポー様」
「じじい」
「ハワード。せめてドイツのアルケミストと呼べ」
「よびます。じじい。みんな」
ゲーテとポーも来た。突然の来訪にボードレールは戸惑う。
ラヴクラフトはゲーテのことをジジイと呼んでいた。たまにボードレールも呼ぶが帝国図書館分館の管理者の白い方も呼ぶ。
「私は皆さんの中では最年長ですから」
「ポー様、何故」
「ハワードをほったらかしにしておけば食べ収めということで二個食べかねん」
「……二個。食べません」
「三個か」
「……」
ラヴクラフトが視線を逸らせている。食べ収めでそれだけ食べようとするならば、
「胃が痛くなるだろう。駄目だ」
「私もあそこのお茶は大好きですので、良ければ共に行きませんか」
「構わない」
奢らせてやるとは思う。一応は最低限の金は持つようにはしている。
最終手段支払いは帝国図書館でを使うとケースによってはスタッフに怒られるし、特務司書の少女に追いかけまわされてしまう。
「私もついていくぞ」
「……いい日だ」
ボードレールは呟く。九月最後は最良で終わりそうであった。