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    秋月蓮華

    @akirenge

    物書きの何かを置きたいなと想う

    当初はR-18の練習を置いてくつもりだったが
    置いていたこともあるが今はログ置き場である
    置いてない奴があったら単に忘れているだけ

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    秋月蓮華

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    ゲテとボドとぷち『くま』のはなし。
    あとでなんきちもでる

    こぎつねのうた「こぎつねこんこんやまのなかー」
    新美南吉の歌声をゲーテは廊下で聞いた。
    「おや。このメロディーは」
    『どうした。おじじ』
    「寒かった」
    ゲーテが歌声に耳を傾けていると七歳児姿の通称ぷち『くま』とボードレールがやってきた。二人は買い物帰りだったらしく、防寒具を着込むに着込んでいる。
    ぷち『くま』はもこもこであるし、ボードレールはスタイリッシュだ。
    「おかえりなさい。お買い物ですか」
    『島田に頼もうとしたら、君が行けと斎藤が言ってきた』
    「僕は今月のワインを受け取りに仕方がなく外に出ていたよ。ランボー君ではワインは受け取れなかったからね。後で飲むかい?」
    「飲みましょうか。先ほど、こぎつねの歌が新美君の声で聞こえましたので」
    『くさのみつぶしておけしょうしたりー』
    「それです。故郷でも聞いたメロディーですから」
    棒読みで歌われてゲーテは頷く。
    「ドイツか」
    ボードレールが言う。ぷち『くま』は無言になった。
    『元はFuchs, Du Hast Die Gans Gestohlenという歌だ。日本で日本語の歌詞が着いた』
    「ジジイが生きていたころにはすでにあったのだな」
    『おじじ千八百三十二年に死亡。享年八十三歳だぞ。千八百二十四年にはドイツでできてる』
    「良く生きたものだな」
    「私もそう思います」
    ゲーテよりも長く生きたのは武者小路実篤ぐらいらしい。
    「ドイツのこぎつねも可愛らしい感じか?」
    「いいえ。ガチョウを取ったこぎつねをライフルで脅す歌ですが」
    「……日本で変貌しすぎだろう」
    『Seine grose, lange Flinte Schiest auf dich den Schrot, Schiest auf dich den Schrot, Das dich farbt die rote Tinte Und dann bist du tot.Das dich farbt die rote Tinte Und dann bist du tot.』
    「意味としてはお前に向かって銃弾を打ったら血で染まって死ぬだろうという意味です」
    日本だとこぎつねがお化粧をしたり、冬の山を穴倉で見ながらさむがっている歌だが、ドイツではハンティングである。
    ぷち『くま』がメロディーをつけてドイツ語で歌う。
    ゲーテが解説を入れた。
    「怖いだろうが!?」
    「こわいよぉ……」
    『ごん。お前だったのか……』
    「日本だとよく聴くフレーズだな」
    「南吉さんの代表作と聞いております。怖がらせてしまいましたね。おやつがありますよ。食べましょう」
    会話を聴いていたらしい南吉がごんを抱きしめて怖がっていた。
    ゲーテが穏やかに南吉に微笑みかける。
    「ぶどうジュースもある」
    「わあい!」
    『菓子を仕方がない。我も出そう』
    こうして南吉に突発的におやつが出されることとなり、皆で食べることとなった。
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