業務後、書類の片付けをしていたルイの背中に何の前触れもなくツカサが告げた。
「次の休暇に、実家に帰省しようと思う」
それを聞いて、間を開けずにルイは答えた。
「そうですか。ごゆっくりどうぞ」
ルイはツカサの方を振り返るわけでもなく、淡々と書類整理を続けている。二人の間に訪れる沈黙に、今はもう気まずさはない。しかし、ルイの心の中は沈黙などでは到底なかった。
「(将校殿のご実家はここから列車で数時間ほどかかる都の方にあると聞いたことがある。となるとまとまった休暇を取る必要があるから、あと2週間後くらいになるか。その頃には業務も大方落ち着いてるだろうし普段の働きぶりを考えれば1週間はゆっくり出来るだろうな)」
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