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    coco_mori7

    年齢制限のお話などをぽいぽいする場所

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    エアコレ2022展示④アンセレ
    アンクゥの髪に触れたいセレスちゃんの話(ハッピー幸せ軸です。細かいことは気にせずにお読みください)

    触れて、確かめて セレスには、ずっと気になっていることがあった。
     彼女がじとりと見つめるのは、セレスの隣で眠るアンクゥの姿。それも、その視線は彼の長い髪に夢中だ。指でそっと撫でると、さらさらとしていて、よく滑る。一体どんな手入れをしているのだろうと以前セレスが尋ねたことがあったが、特に何もしていないとアンクゥは告げたのだ。
    (……よく眠ってる)
     心地良いアンクゥの寝息が、セレスの耳を優しく擽っていく。深い眠りに就いている今ならば、チャンスではないだろうか。
     セレスがずっと気になっていること——それは、アンクゥの髪にしっかりと触れてみたい、というものだった。
     本当はずっと、触れてみたかった。だが、男性の中には髪を触られることを嫌う人もいる、と聞いたことがある。だから、セレスはなかなかアンクゥに言い出せずにいたのだ。こうして眠っている今ならば、きっと気付かれることはないだろう。そんな期待を込めて。
     様子を窺うように、セレスはアンクゥの顔を覗き込んだ。確かに目は閉じられているし、未だ寝息も聞こえてきている。きっと、大丈夫だ。セレスは小さく息を吸い込むと、アンクゥの髪を一房、手に取った。
    「わ……」
     持っただけで分かる、この線の柔らかさ。思わず声が出てしまうのも無理はないだろう。セレスは、きゅと唇を噛み締めて、これ以上声を漏らさぬように必死に耐えた。
     しばらくの間、静かにその触り心地を堪能していく。すると、ほんの少しばかりの好奇心が湧き上がってきた。この綺麗な髪を編んでみたい、なんてそんな思いが。
     セレスは、アンクゥの髪と顔を交互に見やった。見る限りでは、どうやらまだ起きる気配はなさそうだ。もし彼がほんの少しでも動いたら、すぐに止めればいい。
    (少しだけ、だから)
     自分にそうやって言い聞かせながら、セレスは彼の髪を丁寧に編み込んでいった。アンクゥの髪を愛でるように、優しく——。
     こんなにも長い髪を編むのは、セレスにとっても初めての経験で。編んでも編んでも、まだその先は長く、簡単に終わることはない。うきうきと心弾ませるように、セレスは次々と生み出していく。自分でも気付かぬうちに鼻歌を奏でてしまうほど、それほどに彼女はアンクゥの髪に夢中になっていた。
     アンクゥが、つい先程目覚めたことも知らず——。


     ***


     なんて可愛らしいことをしてくれているのか。
     アンクゥはそう叫びたいのを必死に我慢していた。
     夢の中を彷徨いながらも、何か温かいものに撫でられているようなそんな心地良い感覚があって。それと同時に、子守唄のようないつまででも聞いていたくなるような、そんな優しい音までも聞こえてきて。
     ぼんやりと重たい目蓋をうっすらと開けてみると、セレスが自分の髪を編んでいることにようやく気付いたのだ。
     どうやら、彼女はまだアンクゥが眠っていると思い込んでいるらしい。それならば、ここは彼女の遊びに大人しく付き合ってあげるべきだろう——と、アンクゥは声を上げることをしなかったのだが、あまりにも姫君が可愛すぎた。
     勝手に頬がだらしなく緩んでしまいそうで、堪えられそうにない。だが、まだ彼女のこの姿を目に焼き付けていたいという思いもあり、アンクゥはどうすることも出来ずにいた。
    (本当に……困った姫君だ)
     自分が眠っている間に、こんなことをするなんて——愛おしすぎて、困る。今すぐにでもその身を強く抱きしめて、口付けをしたくなってしまうではないか。
    「ふふ、かわいい」
     鼓膜を撫でるのは、姫君の小さな声。目覚めているアンクゥには、しかとその音が聞こえていた。可愛いのは、どう考えても姫君の方だ。
     アンクゥは一体いつまで大人しくしていればいいのか。彼女が眠るまで、嘘を貫き通すべきなのか。いやしかし、正直に言ってしまえば、これ以上は我慢の限界だった。
     セレス——と、ただ一言彼女の名を呼ぶ。すると、彼女の身体がびくりと震え上がるのが分かった。
    「私の姫君。そんなに愛らしいことをされては、私も抑えられなくなってしまうよ」
    「っ、あ、んく、お、起きて……!」
    「ああ、起きていたさ。君の手があまりにも心地良くてね」
     目を開き、セレスの顔を覗き込む。暗闇の中では彼女の顔の色までははっきりとは分からないが、恐らくは赤く染まり上がっていることだろう。アンクゥがセレスの頬に触れてみれば、確かにそこはじんわりと熱かった。何か言いたげにはくはくと口を開閉するセレスに、くすりと笑みが零れ落ちる。
    「可愛いのは、君の方だろう?」
     愛おしい花を愛でるように、アンクゥが親指で彼女の頬を撫でた。
     アンクゥを魅了してやまない真っ赤な花。その甘い香りに引き寄せられるように、アンクゥは彼女の唇へと吸い付いていった。彼女の華奢な背中を抱き寄せて、逃げ場をなくすように腕の中へと閉じ込めていく。セレスも逃げられないと悟ったのだろう。彼女は随分と静かだった。
     暗闇の中で聞こえるのは、二人の熱い吐息と、リップ音。なぜ、姫君が髪を編んでいたのかは後で問い質すことにして——今はただ、夢中で彼女を求め続ける、ただそれだけだ。
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