勉強会火曜と金曜は成田くんの家へ行く。何しにって、勉強や勉強。清く正しい受験生のぼくたちはちっぽけな脳みそのその皺に、これでもかとその場限りの知識を詰め込むことに力を尽くした。ふざけた英語の構文や、知らんでも何ら困らん原子構造とイオン。こんなん覚えてなんになんねんと思いつつも、必死こいて問題を解く。
からあげくんは家に着いた瞬間に腹の中に消えていき、喉なんか乾いていないのに義務のようにちびちびとミルクティーをストローからすすっている。
正方形の簡易コタツに向かい合ってもうすぐ30分。成田くんはうわ、また出た、三平方の定理や…点Pてなんやねん…とぶつぶつ文句を垂れながらもシャーペンをチミチミと動かしていた。
○
どこ行くん、と聞かれて職員室やけどと答えた。成田くんは笑ってまた問いかける。
「ちゃうよ、高校の話」
「ん〜…立石かな。にいちゃんが行っとったし、制服代浮かしたいから行こかなって思ってる」
「うっわ、やっぱ聡実くんめっちゃかしこやな〜…はあ、一緒の高校行きたいのに」
椅子にどっかりと腰掛けて長い足をゆったり組みゆらゆら揺らす。辛うじて引っかかっている上履きはボロボロでつま先辺りが擦れていた。
「な、んで」
「…そんなん一緒におりたいからに決まってるやん」
ちゃうの?と机上の日誌を書く僕の指をすり、と撫でる。未だに慣れない触れ合いにいちいち赤面して汗がじゅわっと湧いてくる。僕も一緒におりたいに決まっている。
成田くんがまだまだ一緒におってくれる、そんな煌めく様な未来のためなら僕はなんだって出来る気がした。
学年の上の方と、下の方の学力差。2人のあいだ位の学校へ志望校を変える言っても成田くんは「そんなん絶対すんなよ」と少し怒って首を振る。
一切勉強なんてしてこなかったと豪語する成田くんと一緒に(はじめて一緒に勉強した時七の段言える?って聞いたらなめとんかと頭を小突かれた)ワークと教科書に向き合って迎えた中間試験。週に何度かの勉強だけで学年の中くらいまで一気に順位をあげた成田くんは「俺まじで立石行けんちゃうかな」と謎の自信を持ち、こうして週に2回成田くんのお家へお邪魔して、半分真面目に勉強会を開いている。
○
今日は、数学と英語。30分問題を解いて、5分休憩。それをぎりぎりまで繰り返す。
はじめは休憩時間は15分設けていたけれど、15分あったらイケんちゃう?と2人でベッドに潜り込んで互いのちんちんを擦り合わせて、結局休憩終了のアラームが鳴っても離れることができずに終わった第一回勉強会。
これじゃあかんと休憩時間を5分に減らし、ついでにちんちんが痛くて勉強どころやなくなるので休憩中のベロチューは禁止にした。
区切りを知らせる卓上の時計がジリジリ鳴った。
「ちょお待って、キリ悪い」
う〜ん…と引き続き問題を解く成田くんの伏せた重そうなまつ毛や、高い鼻や、下唇を噛む唇を見ていた。僕は時計が鳴る少し前からそわそわしていて、問題が頭に入ってこない。
「解けた、絶対6や!…………ってちゃうんか〜い」
巻末の答えを照らし合わせてハァとため息を吐き、ポイと問題集を床に投げ捨てた成田くんと目が合う。やっとこっち向いてくれた。
「…わ、びっくりした」
机に向かい合う辺と辺。上半身を乗り出して成田くんに近づいた。僕の影が成田くんの顔にかかる。成田くん。成田くん。成田くん。
「ふ、待ちきれんかった?」
「うん…」
にや、と笑いかけられるだけで胸が張り裂けそうなくらい満たされてしまう。
シャーペンから乗り換えて僕の手へ。きゅっと手を握ればそんな訳ないのになぜだか考えていることがバレそうだといつも思う。
ちゅ、ちゅと音を立てて口と口をくっつけあった。
「…あと、何分で家出なあかん?」
「…ん、……15分くらい」
「ほな、はよしよ。」
成田くんの大きな手が僕の脇の下に差し込まれてひょい、と簡単に持ち上げられる。運ばれた先は、成田くんが背もたれに使っていたパイプベッド。ごろりと転がされて成田くんを見上げると、甘い顔をした成田くんがゆっくり降りてきてまた唇にちゅ、ちゅとキスをしてくれる。離れない唇と唇。その合間にこそこそと囁き合った。
「ん、ふ」
「さとみくん、ちんちん、すごいな」
「や、ごめ、」
「ええよ、俺も一緒」
「ほんましんどい…はよ出したい」
「火曜からいっぺんも出してへん?」
「うん、してない。成田くんは?」
「してないよ、ほらみて」
カチャカチャとベルトを外して一気にパンツをズリ下げると、バチ、とパンツのゴムを反動にしてバキバキに勃起した成田くんのちんちんが飛び出してきた。成田くんの薄く割れた腹筋に付くくらいに勃起したソレを見ているとじゅわじゅわとどうしようもなく唾が湧く。
○
いつか、成田くんが唐突に言った。
「オナニーしすぎたら頭悪なるねんて」
ぱち、と瞬きをして頭の中で反芻させる。成田くん今何て言うた?
「…え?」
「やーかーらー、ちんちんシコったらザーメン出るやん?そん時になんか体に大事な成分
みたいなやつも大量に出てまうらしい」
「……ほんまなん?それ」
「ほんまやて。小林くんから聞いてんもん。…やから、俺オナ禁するわ。聡実くんがうちくる火、金以外はオナニーせんとく」
「やから聡実くんも付き合って!そのかわり火曜と金曜はイチャイチャしよな!」
有無を言わさず、滅多に見れないとびきりの笑顔で押し通された。そういうわけで火曜と金曜は半分勉強、半分いちゃいちゃするために成田くんのおうちにお邪魔している。
鼻先にご褒美をぶら下げられて頑張れないわけなかった。
○
「は、ふ」
「ん」
舌がぬるりと僕の口内へ滑り込む。ぬるぬると歯列や舌先をくすぐられてゾクゾクと背中が震える。タバコとさっきまで飲んでいたミルクティーの味。成田くんは僕の両頬を包んで角度を変えながら舌を絡める。くちゅ、と鳴る2人分の唾液の音。はふはふと必死に成田くんの舌に縋り付く。2人の舌の接点が深くなる。成田くんに荒い鼻息がバレるのが恥ずかしくて、息を詰めて我慢しているので苦しくて仕方ない。
ごり、と成田くんのが、僕のちんちんに擦り付けられる。
「制服、汚れてまうから、はよ脱いで」
と口をくっつけながら成田くんが呟くので、ベルトとパンツをもだもだと脱ぎ捨てた。
熱い。成田くんの熱いちんちんが僕のちんちんに擦り合わさる。成田くんの大きな手が、僕のちんちんの余った皮をずり下げる。
「先っぽ、出てきた」
「…言わんといてよ」
「ん、ごめん」
隠れていた敏感な亀頭を、するりと撫でられるとビク、と腰が逃げる。同級生なのに色も形も太さも全然ちがう。それでも擦り合わさる快感を共有できるのは嬉しかった。
「聡実くん、両手、輪っかにして」
言われたとおりに両手で輪を作り、2本まとめて両手に収める。僕が作った手の輪に成田くんが腰をいれると、にちゃ、とかぐちぐちとかいやらしい音が鳴った。成田くんが腰を振って互いのちんちんが擦れるたびに、先っぽから透明なガマン汁が次から次へとと湧いて出てきて、それがまたいやらしい音を響かせる。
「あ、っ、や」
「うっわ。めっちゃいい、手もうちょい絞めて」
裏筋をちんちんでごりごりと擦れると気持ち良すぎて手が震えた。
「ん、〜ッ、うあ♡」
きゅうと手を必死に締めると、成田くんの形の良い綺麗な口から気持ち良さそうな声が漏れ出る。
「あ〜、やば」
顔の横についた成田くんの太い腕の筋肉がびく、と動く。気持ち良くなってくれることが嬉しい、もっとしてあげたい、なんでもしてあげたい。成田くんが好きだ、成田くん、成田くん。
「あ♡すき、成田くん、〜ッ、すき♡」
「ん、俺もイきそう、聡実くんちんちん痛くない?」
「大丈夫、全然いたない、きもちいい、すき、なりたくん」
「ー、ッハ、あ」
絞った手で2本まとめて扱く。覆い被さる成田くんの唇へ、首を伸ばして吸い付いた。ちゅうちゅうと舌先を甘えるように吸い出す。
「あかんって、そんなんしたら、」
「すき、アッ♡でそぅ、んぁ」
火曜日に、成田くんの家で2回出してからキチンと言いつけ通りにオナニーをしていない。溜まったザーメンが玉からきゅうと、駆け上がるのが分かる。出してしまいたい、成田くんのでっかいちんちんにかけたかった。
「〜、すき、なりたくん♡すき」
「は、その顔、絶対誰にも見せんといて」
「うん、見せへん」
「聡実くん、これからも、全部、オナニー俺が居る所でして。ザーメン全部、俺の前で出してな」
「うん、する、するから」
「全部、俺のもんやから」
「や、いく、なりたくん、いっていい?」
「ええよ、出して、見といたるから」
「〜〜、あ!ッ!」
ビクンと身体が大きく痙攣する。気持ち良すぎて腰が反り返り、布団から背中が浮いた。ちんちんがヒクヒクと震えるたびにびゅくびゅくと粘度の濃いザーメンが溢れ出た。
「あっついな、聡実くんのザーメン」
「ごめっ、う、動かんといて…!」
「いや、無理やろ。手、絞めといてな」
成田くんの腰の動きが一層はやくなる。ごりごりと僕のちんちんが削られるようだ。力強く成田くんがぐちゃぐちゃのちんちんを擦り上げる。僕の手の中で、僕のザーメンを纏って摩擦を生むちんちんがビクビクと震えて一層硬く張り詰めた。
「いく、聡実くん、イっていい?な、聡実くんのちんちん汚していい?」
「ん、ええよ、出して」
「、ア、〜〜ッ、はあ」
成田くんの濃ゆい眉毛が快感に顰められる。悩ましく、射精の悦びに浸っている秘密の顔を特等席で見上げた。
イった後、二、三度腰を振って最後の一滴まで絞り出しているのがわかる。2人分の溜めておいたザーメンの匂いは最悪だった。
「……今何時?あと何分で出なあかん?」
成田くんは僕の方にずい、と枕元の時計を差し出す。
「…んー、あと5分ないくらい」
「………チャリ飛ばして送るから、お願い、もっかいしよ。」
「…うん」
腹の上のザーメンを成田くんがティッシュで拭き取る。警察に見つからない裏道を考え出そうとした矢先に、ちゅうと、唇に吸いつかれて何にも考えられなくなったまま布団に再び寝転んだ。