宅配ボックステリオンが目覚める部屋はいつだって白く、レースカーテンから透けて落ちてくる陽光に照らされている。
「ん……」
くぁ、とあくびを噛み殺し上体を起こす。後頭部を搔きながら隣を見れば、すよすよと行儀よく眠るサイラスがそこにいる。珍しいこともあるものだ。彼はいつも自分より早く寝て、早く起きる。昨日は確かテリオンと同じ時間帯に寝入ったはずだが、仕事の疲れでも出たのだろう、やや、やつれてみえる。
頬を撫でると歳を疑うほどの滑らかな肌だと分かる。ぎし、とベッドフレームに負荷をかけて身体を寄せ、投げ出された片手を手のひらでなぞり、指を絡める。キスがしやすいように少しばかり仰向けにさせ、呼気を触れ合わせてから、やっと──
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