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    18禁ではないとは思うけれど、そのまま晒すには抵抗がある
    キースが翻弄されているだけです。

    ナイトプールとキス 激しい水音に、フェイスはチラリと視線を流した。いくらプールがあるからといって、こんな音を出して飛び込む輩はろくな者じゃない。そう非難がましい気持ちで見たのだったが、その視線の先に映ったのは、制服のままプールから上がろうとしているキースと、それを眺めているブラッドの姿だった。
     ああ、酔っぱらって落ちたのかと、すぐに察する。
     何人かは音に驚いて振り返っていたが、すぐにフェイスが流す音楽の中へと戻ってくる。フェイスも気にする素振りなどかけらも見せず、笑顔のまま仕事を全うしていた。そうしながらも、視界の端へと意識が動かされている。
     キースとブラッドはなにやら話をしていたが、やがてブラッドは、キースに手を差し出すことなく立ち去って行った。けれどブラッドのその表情からは、いつもの堅苦しさが抜けているのがフェイスには見て取れた。だがまあ、キースと話しているブラッドにはよくあることではある。いつものこととフェイスは己に言い聞かせながら、キースへと視線を移すと、キースはやっとプールから出てきたところだった。頭まで完全に水の中に落ちてしまったらしく、全身ずぶ濡れで、濡れた服が重いとばかりに背中を丸め渋面を作っている。髪の毛もぺったりとしてしまっていて、ずいぶんと雰囲気が変わっていた。
     フェイスは頬が緩んでしまうのを、仕事の笑顔に混ぜ込んだ。そのまま器用に音楽を操りながら、キースへと意識を向ける。と、視界に入ってきた光景にぎょっととして、危うくミスを犯しそうになった。キースが濡れた制服をその場で脱ぎ始めていた。
     ちょっと待て!と心の中で声を上げても、もちろん届くわけもなく。フェイスはこの曲の残り時間を頭に描きながらも、ミスを犯すことなど絶対に自分に許さず、フェイスは届かぬ念をキースに送りながらも役目を果たし切った。
     少し休憩と抜け出しても、誰も咎めることもなく疑問にも思われなかった。ここまでずっとぶっ通しで盛り上げてきていたことが幸いしたと言える。だからその後に、フェイスがずぶ濡れの男をひっぱって去っていくのを見とがめる者もいなかった。



     ビニール製の袋をぶら下げてフェイスは更衣室に入った。途端に水音が聞こえてくる。フェイスはきちんと扉を閉めて、奥のシャワールームへと向かった。唯一カーテンが引かれている個室の前へと迷いなく進む。
    「タオルと服を買ってきたよ」
    「お~ありがとな」
     呼びかけた声にすぐに返事があった。
     イベント中のこんな時間に更衣室を使っているのはキースくらいしかいない。改めて、フェイスは小さく息をつく。
     フェイスが時間を作ってキースの元に行ったとき、キースはずぶ濡れの制服を絞り切り、続いてタンクトップまでも脱ごうとしているところだった。この恋人は、たいへん悩ませてくれることに、人前で裸になることへの抵抗感が薄い。プールでのことだと言われても、初めから水着でいるならともかくも、こんな不可抗力で脱がれてはフェイスの心は穏やかではいられない。という事情は、キースに言っても通じないことは判っているので、特に何も言わずに更衣室に連れ込んだのだ。
    「トランクスはなかったから、ボクサーだけど」
    「おお、なんでもいいよ」
     カーテン越しに話しかけると、キースからなんでもないような返事があった。その声は少し陽気で、アルコールが入っているなと察する。
    「そうなんだ。トランクスが好きなんだと思ってた」
    「別にこだわるつもりはないけどな」
    「ふ~ん」
     シャワーの音が続いている。ここにキースを放り込んで買い物に出かけてからそれなりに時間が経っているはずなのだが、未だにシャワーが続いているということは、もしかするとシャワー室があるということそのものになかなか気づいていなかったのかもしれない。
     イベント会場では今頃色々な料理が運ばれている頃合いだろうから、まだ時間に余裕はあるだろう。水音を聞きながら、フェイスは雑談を続けた。
    「俺はトランクス好きだよ」
    「そうなのか?って、お前ボクサー履いてるじゃないか」
     シャワーを浴びながら、キースは律義に返してくる。フェイスはアハッと笑った。
    「指が簡単に入るし、捲り上がるし、それにいい感じに隙間から見えたりするんだよね」
    「ゴホッ!ッ、ッ、ケホッ、コホッ……ッ」
     カーテンの向こうで激しい咳き込みが始まった。
    「鼻にッ…カハッ、ッ、ッ………」
     悲痛な声も聞こえてくる。ちょうどシャワーの水を顔にでもかけていたのだろうか。
    「あ~あ~、大丈夫?」
     全然心配してなさそうな口調でフェイスは声をかけた。
    「…ッ…ッ…あ~……お前なあ」
     呆れたような非難するような声が聞こえてきたが、言っても無駄とわかっているのか、キースもそれ以上のことは言わなかった。
     すぐにキュッとシャワーの栓が止められた音がした。水音が完全に消えて安全を確認してからフェイスはカーテンを引く。
    「はい、タオル」
     キースは無言で取り上げるようにタオルを受け取り、すぐに自らの顔面に押さえつけた。結構なダメージだったらしい。フェイスはキースのぺたんこになった頭の上から床に在る爪先まで、ゆっくりと視線を降ろした。そうしてからキースがタオルから顔を上げる前にカーテンを閉じる。着替えをじっくりと堪能してもいいのだが、今はまだ仕事中だ。これくらいは自重することにする。
    「服は?」
     気を取り直したキースの声が聞こえたので、フェイスはカーテンの隙間から袋を差し入れてやった。このホテルに備え付けの店で買ったものだから贅沢は言えなかったが、それでも自分が選んだ服をキースを着るというのは、単純にちょっとワクワクしてしまう。
     フェイスがそんなことを考えている間にキースは着替えたようで、う~んと微妙に唸る声が聞こえた。
    「これはちょっと、若者向きじゃないか?」
     カーテンを引いて出て来たキースは、開口一番そう言った。
     上は光の加減で格子縞模様が見える黒色の大きめのシャツで袖も少し長めだ。下は白色のワイドシルエットのショートパンツでひざ丈ほどの長さ。全体的にゆったりとしているのでキースの好みにも合っているだろうが、キースの指摘通り若めの世代向けのファッションだろう。
    「似合ってるから大丈夫だよ」
     フェイスはニッコリと魅惑的な笑みを浮かべる。キースは憮然とした表情をしていたが、買ってきてもらった手前これ以上文句も言えず、黙り込んだ。
    「この後は?」
    「あ~、ブラッドのとこ行って飲みの続き」
     キースは答えながらチラリとフェイスの表情を伺ったが、フェイスは「ふ~ん」と気のない返事しかしなかった。それなのに、そんなフェイスの表情を読み取って、キースはニッと口角を上げた。
    「ブラッドとは、どうにかなりそうだな」
    「……俺が一人でどうにかすることにしたんだよ」
     フェイスはちょっと視線を外し、どこか不満そうにそう答えたが、キースは益々笑みを深めた。
     そんなキースの態度は、どこか保護者的なものでフェイスとしては気に入らない。メンターなのだから仕方ないだろうとキースは言うだろうが、それでも気に入らないものは仕方がない。フェイスは話題を変えるように口を開いた。
    「オーナーがせっかくだから泊っていけって、部屋用意してくれてるみたい」
     フェイスの言葉にキースはパチリと一度瞬きした、そうして少し探るように口を開く。
    「…………そりゃあ、シングルだろ」
    「それがスイートルームなんだよね」
    「まじか」
     大盤振る舞いだな、とキースが呟く。
    「まだ客がいなくて空いているからなんだろうけど」
    「それだけ感謝されてるってことだろう。良かったじゃないか」
     また保護者の顔をして、キースは笑みを浮かべた。フェイスはキースの頬に手を伸ばし、そのまま首の後ろに手をかけてこちらに引き寄せる。唐突に引っ張られて小さく声を上げるキースの開いた口に己の口を重ねて、笑みを消させた。軽く舌を絡ませてから早めに離れる。といっても、首にかけた手は離してやらない。
    「ホールで…っていうのは、ちょっと目立つかな」
    「おいおい、勝手に話を進めるな。ブラッドもいるんだぞ」
    「それくらい適当に躱しなよ。そうだ、キースがプールに落ちたところで待ち合わせよう」
     そこまで言い切ると、反論は聞かないとばかりにフェイスは再びキースに口づけた。今度は先ほどの軽いものでは許さない。フェイスに押されるようにしてキースが少し下がり、壁に背を付けた。その拍子にキースの目線が下がり、フェイスの方が高くなる。
    「ばっ…誰か…来たらッ……ッ」
     少し口をずらしてキースが無理やり抗議してきたが、フェイスはキースの両頬を挟み込み、ますます口づけを深くする。
    「んッ……ふっ……ッ……」
     やがてキースの抵抗も弱まり、鼻を鳴らす様に淫らなものが混ざり込む。フェイスは片手を頬から離し、キースの足へと手を伸ばした。そうしてショートパンツの裾を探り、するりと指先を忍ばせる。キースの足がびくりと震えた。ずずっと壁からずり落ちそうになったキースは、壁に手を付き必死に自分を支えている。フェイスはそれをチラリと横目で見ながら、容赦なく太腿を撫で上げた。このまま盛り上がりたいところだがフェイスはそれをせず、唇を離した。
     一瞬見えたキースの顔は、どこか虚ろでほわんとしている。が、すぐに自力で正気に戻り、口元を手の甲で隠すようにしてフェイスから距離を開けた。そして出入り口に視線を向けながら声を上げる。
    「お前ッ……」
    「鍵かけてるに決まってるでしょ」
     キースの抗議を遮るようにさらりと言う。キースは一瞬ぽかんとしたが、ガクリと肩を下げた。
     こんな時間で更衣室に来るような人間はいないだろうが、念のためだ。別に初めからいかがわしいことを目的にしていたわけではない。が、そう意識されると、色々思うところがある。
     息をつくキースの目元はまだ赤く、その目は潤んでいるように見える。唇も、まだ濡れて艶めかしい。そんな顔を眺めながら、フェイスはぽつりと言った。
    「……その顔、治してから出てよ」
    「はあ?顔なんて変えれ…」
    「エロいから」
     間髪入れずに言われた言葉にキースはグッと押し黙り、ギロリと一度睨んでから、ドカドカと足音を立てる勢いで洗面所に向かった。
     バシャバシャと立てられる水音を聞きながら、フェイスはアハッと一度声を上げて笑った。そうして、そっとキースの背後に近づき、怒りの混ざった激しさで顔を洗っているキースの耳元に唇を寄せた。
    「服を買ってあげた意味、わかってるよね」
    「ゲホッ!コホッ、コホッ」
     予想通りに素直に咳き込んでくれるキースを見て、フェイスは満足する。
    「お前、さっきから、わざとだろッ!」
     濡れた顔で、咳き込みながら声を上げるキースに、フェイスはにっこりと笑いながらその顔面にタオルを押し付けた。
     扱いが雑だとか、やけに機嫌がいいとかとブツブツ言っているキースを後目に、フェイスは身を翻した。
    「じゃあ、またあとでね。ブラッドによろしく」
     確かに機嫌がいいなと自覚しながら、フェイスはキースから離れ、DJの顔に戻っていった。
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     ああ、酔っぱらって落ちたのかと、すぐに察する。
     何人かは音に驚いて振り返っていたが、すぐにフェイスが流す音楽の中へと戻ってくる。フェイスも気にする素振りなどかけらも見せず、笑顔のまま仕事を全うしていた。そうしながらも、視界の端へと意識が動かされている。
     キースとブラッドはなにやら話をしていたが、やがてブラッドは、キースに手を差し出すことなく立ち去って行った。けれどブラッドのその表情からは、いつもの堅苦しさが抜けているのがフェイスには見て取れた。だがまあ、キースと話しているブラッドにはよくあることではある。いつものこととフェイスは己に言い聞かせながら、キースへと視線を移すと、キースはやっとプールから出てきたところだった。頭まで完全に水の中に落ちてしまったらしく、全身ずぶ濡れで、濡れた服が重いとばかりに背中を丸め渋面を作っている。髪の毛もぺったりとしてしまっていて、ずいぶんと雰囲気が変わっていた。
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