Good morning My dear❖ ❖ ❖ ❖ ❖
遠くに聞こえる小鳥の囀り、少しの肌寒さにもぞりと身動ぎ、浮上した意識とともに重い瞼を上げる。
きょろきょろと周りを見回し、つい、と自分の胸元に視線を落とすと、寝間着をぎゅうと握り静かに寝息を立てる天使の姿。
パストが“あの事件“の後に収監されていた刑務所から出所し、身寄りのない彼を引き取り同居生活を始めて数ヶ月。
一度面識はあったものの、まだ警戒心を解かない彼と根気よくコミュニケーションを取り日々を過ごした結果、ようやく安心して一晩を過ごしてくれるようになった。
今や自分の腕の中にすっぽりと収まり、無防備に眠ってくれるようになった現実に小さな感動を噛み締めつつ。
薄ぼんやりとした部屋の中で弱い朝日に照らされるその寝顔を眺めた。
1989