お肉は幸せの味街にはそれぞれ色がある。
シエスタ、カジミエーシュ、イェラグ、龍門。そのどれをとっても同じ喧騒というのは存在しない。ロドスの賑やかさとも似て非なるそれぞれの個性というものがあった。
様々な都市を渡り歩いてそれを実感してきたが、中でも龍門の人々とざわめきはいつしか自分にとってはロドスを除いた場合一番馴染み深いものとなり始めていた。
今日は久々に勝ち取った休暇と外泊許可を携えてリー探偵事務所へと向かっている。
いつからか完全に覚えてしまった道のりを経てこれまた見馴れた事務所の扉の前でドアベルを鳴らす。子供たちは明日顔を出すと言っていたので今この中に居るのは彼一人だろう。
「どうもドクター。お待ちしてましたよ」
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