まだ青い議論 きっかけは、砂漠の遺跡調査だった。
教令院に収蔵されていた研究資料を検分していたところ、現物と照らし合わせる必要が生じてアルハイゼンは現地へと赴いていた。
遺跡あるところに盗掘あり。アルハイゼンが碑文を検めていると、金目のものがあると思ったらしい宝盗団が剣を抜いて迫ってきた。
そのときだった。頭上で白い花か何かがぶわっと舞ったかと思うと、アルハイゼンと宝盗団の間に割って入るように、地面に剣を突き立てて蛍が着地した。
「アルハイゼン!?大丈夫?怪我はない?」
「……ああ、問題ない」
「よかった。今、片付けるね」
そう言った彼女は軽やかに舞うように剣を振るい、草の元素力を迸らせる。
呆気にとられたアルハイゼンは、彼女に加勢するため剣を握りながらもどこか冷静に思考を巡らせていた。
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