夕立と共にいなくなりそうな人だった。
冷静で、誰よりも善性であった。
それ故に、救えなかった命と、救うべき命と、救わぬべき命の境を明確にしようとしてしまったのだ。
曖昧でいいはずのその境界を、求めて求めて。
それを教えてくれる友はなく。
この身に余る忌々しい力のみ。
誰も知らない、酷い味。
嚥下して流す涙は、自分の苦痛のためか、救った命のためか、はたまた救えなかった命のためなのか。

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