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    aamcdi

    自我/添削用

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    aamcdi

    DOODLE前編でけた
    奇々怪々な森とあなたへのロンド/ヒス晶♀︎ 雨が降り続いている。でもその雨は暖かくて、窓に打ち付けられる音の居心地が良かった。よく目を凝らしてみると窓の向こうに桜が舞っていた。雨に打たれる桜の花びらがとても綺麗で、ぼんやりと見つめていると、かちゃりと食器の音が鳴る。珈琲を持ってきた店主はごゆっくりと澄んだ声でそれを置き、去っていった。私はお店の中から桜を見ていた。窓際の二人掛けの席に座っている。なぜだか誰かを待っているような気がした。しかしその人が誰なのかぼんやりと雲がかかったような、水の中に隠されているような奇妙な感覚を覚えた。カップの中から湯気が立ち昇る。すると、来店を思わせる鐘の音が鳴った。入ってきたのは一人の男性らしい。店主の見知った人なのか、一言二言気さくに会話している。知らない人の顔をじろじろ見るなんて、申し訳なさの波が足元をくすぐった。けれどとても綺麗な顔の人で、不思議と二人が話すカウンターへと視線が伸びる。ぱっとこちらを振り向いた男性は誰かを探すように視線を漂わせ、店内の一番奥にある二人席、そこに座る私と目が合った。初めて会ったはずなのに、なぜか知っている人だった。名前は何だったっけ?なんで知っているんだっけ?たくさんの疑問が浮かぶ。でもそれらの答えは見つからないまま、その男性は私の隣まで歩いてきた。
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