天藍に輝くみなみのひとつ星 パーティに参加するのは初めてでは無い。思えば、賢者の魔法使いが揃ったときが初めてだった。それ以降バレンタインパーティや女王の見本市、ローザのサロンなど。思い返せばたくさんあった。
初めてのパーティで見た大広間の壮大さを覚えている。そんな場所の隅に晶はいた。紳士淑女の平滑な会話を聴きながら、晶は夜の帳が落ちる窓の外を見つめた。大広間の光に反射して、窓の中に見慣れない姿が映る。いつも無造作に下ろしていた髪をサイドだけ残し、結い上げて煌びやかな宝石の髪飾りを付けている。――これはシャイロックが用意した髪留めに、ムルが真珠をはめ込んで作ったお手製だった。クロエが作ったイブニングドレスは白と青を基本として、指先まで伸びるレースのグローブや裾から見えるパンプスまで仕立て屋の技量が詰め込まれいる。華やかさと同じくらい洗練された衣装。たった一夜の為だけに、晶のために仕立てられた衣装だった。
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