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    forunoa

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    オリキャラ設定と小話

    料理人と893の話伊富貴真史(いぶきまお)
    25歳、男性、185cm、72kg
    八剱組八天王の内の一人でNO.5の男である。
    普段からサングラスをかけ、スーツに身を包み、人相が悪く、身長もガタイもあるため、一目見た印象は近寄り難いという見た目。
    その実、まるで大型犬のように人懐っこく、まるで小型犬のように小心者。
    争いごとが嫌いで、他人を傷つけることを良しとしない。自分の肉体が強く、相手を傷つけてしまう武器になってしまうことを自覚しており、表面でも内面でも相手を傷つけてしまっていないかビクビクしながら生活している。
    見た目とは真逆に、他人に対してとても優しく、困っている人を見かけるとつい手を貸してしまう。誰かを守るためであれば、その力を存分に発揮出来る。
    あることから、八剱組と関わりを持つようになるが、本人は組に属しているということをあまり理解していない。
    普段はレストランで料理人として働いており、八剱組でもその腕を奮っているため、料理人として雇われているのだと思っている。
    人に顔を見られると大体は怖がられてしまうため、ホールには出ずに料理に没頭している。こっそり覗いて自分の料理を美味しいと食べてくれるお客さんを見るのが幸せ。



    ↓おまけの小話↓

    ~八剱組入りの話~
    ある日の夜、コンビニに夜食を買いに外に出たところ、人目のない路地で美人が不良達に絡まれているところを目撃する。あわあわと見守っていると、不良の手が美人の胸倉を掴んで引き寄せた。気付くと体は勝手に動き、その不良を伸していた。不良達は自分の容姿を見ると青ざめ、そそくさと立ち去って行った。
    美人はポカンとしており、恐る恐る大丈夫か尋ねると、美人が自分へと一気に近づき両手を握られる。
    「君、すごく強いんだね!僕びっくりしちゃったよ~とても良い目をしているようだし」
    口を開いた美人は男だった。自分の両手を握ったままニコニコと笑っているが、背中がスッと冷える感じがした。
    「……へえ、お兄さん、少し怖いと思ってる?僕のこと。すごいね、ますます気に入っちゃったなあ」
    男の話に付いていけずにおろおろしていると、男は怖がらないで聞いてくれる?と言って手を離し、場所を少し移動すると、自分のことを話し始めた。
    あまり人には言えない職業柄、自分の身を狙われたり、顔が良いためか先程のように絡まれることが多いそうだ。普段外に出るときは、護衛のような人と行動を共にしているため、そうそう面倒なことにはならないが、今日はたまたま一人で外に出てしまったらしい。
    男がそうしてくれたように、こちらからも普段は料理人をしていること、この容姿のせいで他人と関わりたいのに上手くいかないということを話した。
    「へえ……お兄さんさ、僕の力になるってのはどう?例えば……料理人として?とか!」
    「えっ、と、その……いや、はい?」
    「決まりだね!やったー!じゃあ、はい、これ僕の連絡先と家の住所!」
    男は嬉しそうに笑うと、どこからともなく取り出した紙に何か書いてこちらの手に握らせてくる。
    聞き返したと思った返事がイエスと捉えられてしまってどうしていいか分からないまま、走り去ろうとする男を見送ることしか出来なかった。
    去り際、男は立ち止まるとこちらを振り返り、とても綺麗な顔で言った。
    「君は、きっと誰かを守るために強くなれるんだと思うんだよ」
    そして、じゃあね!と付け加えてそのまま暗闇に消えていった。
    その後、悩みながらも書かれた住所へ向かうととんでもなく広い屋敷に迎えられ、あの日の夜と同じ綺麗な顔で「ご飯作って!」と言われるのだった。
    男は八剱綾虎と言った。

    ~綾虎の話~
    藤一郎と喧嘩した。
    些細なことだが危ないから付いてくると言って聞かなかったのに腹が立ってそのまま一人で出てきしまった。今頃家は大変なことになっていて、イチは大目玉だろう。僕はいつまでも子供のままだ。
    どこへ向かっているのか自分でも分からなかったが、周りを見渡す。そういえば、この近くにはコンビニがあったはず。煙草でも買って帰ろう。
    暗い路地を抜けた先に煌々とコンビニの明かりが見える。狭い路地を塞ぐように、不良達がたむろしていたが、その脇を気にせず通ろうとすると、案の定。
    「ちょっと、ちょっと。そんなに急いでどこ行くんですかあ?」
    「あれ?こいつ女か?男か?にしても美人じゃんか!ツいてるね~」
    ニヤニヤとした笑みを浮かべて路地を塞ぎ囲まれる。面倒だなと思ったことに釣られてつい舌打ちしてしまった。こんなことしたら余計面倒なことになるに決まっているのだ。
    「あ?お前、少し綺麗な顔してるからって、調子乗んなよ」
    不良の内の一人が近くにあった自販機用のゴミ箱を蹴り飛ばす。倒れたゴミ箱から空き缶が飛び出し路地裏の先へ転がっていく。それを目で追っていくと、やけにガタイの良い男がこちらの様子を冷や冷やした様子で見守っていた。
    目撃者が居る中、一般人に手を出すのは避けたい。早くどこかへ行ってくれないかと考えていると、ゴミ箱を蹴り飛ばした男が、何も話さない僕に更に苛立ちを覚え、その勢いのまま胸倉を掴まれる。
    「てめえ……何とか言ったらどうだ!」
    そう言って固く握った拳が飛んでくる。ガタイの良い男の方を見やると、既にそこには居らず。立ち去ったのなら丁度いい、誰も見ていないなら売られた喧嘩は買わなければ失礼になってしまうだろう。自然と自分の口角が上がる。募っていた鬱憤晴らしにさせてもらおう。
    「……!?誰だ、てめ―――ぐあっ!」
    「あれ?」
    その間ほんの数秒に満たない。
    僕を殴ろうとして胸倉を掴んでいた不良は、何かに弾き飛ばされたように地面に転がっていた。自分の口から情けない声が漏れる。
    「何だてめえ……ブッ殺してやる!」
    地面に転がった不良が体を起こして、その矛先を僕ではない何かへ向けている。
    そこには、先程姿を消したかに思われていた、ガタイの良い男が立っていた。
    僕が不良に胸倉を掴まれ、その拳に目をやった一瞬のうちにこちらへ移動し、不良を殴り飛ばしたのだろうか。なかなか、見どころのある奴かもしれない。
    不良は男へ殴りかかろうとするが、それは空を切り逆に華麗な蹴りをお見舞いされ、今度こそ地面に伏した。
    鋭い眼光がその場を制していた。他の不良達はそそさくさと退散していく。
    男はハッとしたように現状を確認すると、おろおろとしている。先程までの鋭さの欠片もなく、大丈夫ですか?と聞かれる。
    興味が出た。単純にそれだけ。そこからの僕の行動は早かった。
    手を握っただけで、笑顔を向けただけで、その先にある僕の怖さを感じ取っている。とても嬉しい!何としても近くに置きたい。
    相手を知るにはまず、こちらから話さないといけないのはセオリーのはず。少し切なげな顔を作って話すと、男は真面目に聞いて、真面目に自分のことを少し教えてくれた。
    料理人だそうだ。それは都合が良い。これを口実に家に来てもらえるかもしれない。
    そうして僕は連絡先と家の住所を紙に書いて彼の手に握らせた。
    きっと彼は、強すぎる自分の力と向き合えておらず、あとは使い方次第なだけだ。自分の守りたい誰かのためであれば、その力を役に立てることができるはず。とんでもなく怪しい僕の言葉を信じて、家を訪ねて来るのか、どうするのか、選ぶのは彼だが。
    「……楽しみだなあ」
    「何がですか?」
    「わあっ!?って、イチ……」
    暗がりの中の家路をルンルン気分で歩いていると、電柱の陰からぬっと藤一郎が出てくる。コワイ。家を出る前のことを思い出して気まずい。
    「えーっと……その、」
    「若、先程は大変失礼致しました」
    僕が言うより早く、藤一郎が深々と頭を下げて謝罪する。藤一郎が謝ることは何もないのに、立場がというだけでこうなってしまう。
    「イチ、やめなよ。悪いのは完全に僕だし、イチの立場も自分の立場も分かっている。それを分かりたくないただの僕のワガママだよ」
    「……若、帰りましょう」
    そうだね、と返事して帰路を二人歩く。僕の少し後ろを歩く藤一郎が、隣を歩いてくれることは来るのだろうかと、どうしようもないことを考えて。

    ―――数日後。
    「若、何やらカタギの男が訪ねてきたようですが、もしや」
    「えっ!!」
    忘れていた。完全に忘れていた男がやってきた。まさか本当に来るなんて、これっぽっちも思っていなかったからか、嬉しさが溢れる。
    藤一郎は、短い溜め息を吐いて、察したように僕に話しかける。
    「あの夜、嬉しそうにしていたのは、この男が理由ですか?」
    「そうだよ。すごい掘り出し物かもしれないよ。イチみたいにね」
    親父が藤一郎を連れてやってきた日のことを思い出しながら、防犯カメラを確認するとやはり。あの夜の、大柄な男がとても焦った様子で映っていた。
    屋敷の廊下を走り、広い庭を駆け抜け正門へ向かう。この扉を開ければあいつが居るのかと思うと胸が躍る。藤一郎が後ろに控えて僕の身を案じているが、今はそれよりもこの男が訪ねて来たことへの興奮が勝る。
    何と言って迎えればいいだろうか、こんにちは?久しぶり?いや、ここはやはり。
    「ご飯作ってよ!」
    正門を開けると同時に僕はそう男に笑いかけた。
    男の名前は伊富貴真史と言った。
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