ミルク色の夜 ある日の夜、オズが眠れず屋敷を徘徊していたときのことだった。半開きのドアから明かりの漏れている部屋にホワイトが一人でいたのを見つけて覗くと、待っていたように振り向いて彼は言った。
「眠れないのかのう?」
「……」
まるで、待っていたようだと思い少し気味が悪くなったが、訊くつもりもない。しかし答えず踵を返すのも何かが違う気もする。こういったときどうすればいいか知らなかったオズはその場にしばし立ち尽くしていたが、ホワイトに手招きされたのでそれに従うことにした。
部屋の中はまだ暖炉に火が燃えていて、廊下よりも暖かい。屋敷全体がスノウとホワイトの魔法で快適に保たれているとはいえ、あるのとないのでは違う。
「昼間の稽古が堪えたか?」
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