あの人がいるのなら悪夢でも永遠に永久に無窮に悠久に眠っていたい。甘ったれ、救いようのない屑と罵られてもいい。先輩がいる夢に捕らわれていたい。ここは明晰夢の世界。俺をからかうミステリアスで掴み所のない恭華先輩。目覚めなければ二人しかいないオカルト部活動を続けられる。
「現実で成す事があるだろう?辛くても進む。そう決めたのは…」
暫し沈黙が場を支配してから言葉に貫かれる。
「君だろう?」
覗き込んでくる表情一つ変わらないその茶色の瞳は酷く冷たかった。俺をからかうあまり感情の読めないあの瞳が恋しい。お前は先輩じゃない。先輩はそんな目をしない!夢から覚ますならもっとマシな手を使え!
「そうかい。君の大嫌いな目をすれば戻ってくれるのか。良い事を聞いた。フフフッ」
923