秋の終わりの綴至♀「あ~うまかった。いつもごちそうになってばっかりですみません」
「いいの、いいの。私の課金で綴がお腹いっぱい幸せになってくれたら、それはもう実質収入だから」
「なんすかそれ」
オタク特有の思考回路が理解できずに至の方へ目を向ける。すると彼女は、返事をするより先に、腕にかけていたストールを広げた。
「寒っ。車だから防寒のステータス上げる装備はいらないかと思ってたけど、読みが外れたか」
店に入る前はまだ日も沈んでおらず、厚着をしてきた綴の方が汗ばむくらいだったが、食事をしている間に状況は一変していた。エアコンで適温に調整された店内を出ると、冷たい風が二人の体温を奪う。今日の至は上半身に薄手のリブニット、それから今たった羽織ったストールしか身につけていない。フード付きブルゾンを着た綴と比べても、見るからに寒そうだ。
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