Marry me!- Marry me! -
俺には許婚がいる。
春の国と冬の国の友好な関係作りのため。ガキの頃にそう決められたブラッドリーとは、ずっと幼なじみだった。
許婚とは言っても、手を繋ぐくらいしかスキンシップはなく、兄妹のように育ってきたのだ。
そんな関係が最近、異常をきたし始めている。
「それ、いいじゃねえか」
「似合ってるぜ、ネロ」
「自信持てよ。お前以上に俺様好みの飯を作れるやつはいねえ」
褒める。やけに褒めてくる。
そのうえ、以前より春の国に訪れる回数が増えた。しかも滞在時間のほとんどはネロの傍で過ごしている。
最初は何か思惑があるんじゃないかと思ったものだが、自分を称賛してくるブラッドリーの表情に裏は無さそうで、余計に困惑した。女を口説く練習台にされてるんじゃないか、と思ってしまったのはちょっと申し訳なかった。あいつはそんなに失礼なやつじゃない。
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