カシフサその沼は風船のような体を持ち武士を目指しているのだと聞いた。笑うつもりなど無かったが無理があるだろうと思ったものだ。ところが、その沼はいつの間にか体を得て鍛治と情報収集に明け暮れていたのだ。錬成したと言う体は逞しく、血の滲むような努力と鍛治師である事の証明が刻まれていた。その時が当方の憧れであり初恋であったのだろう。赤い鉢巻と青い外套を靡かせてその沼は当方を見て笑った。
師匠から譲り受けた廟堂で、錬成の代償から出られなかった沼は笑い話だと言った。解放のペンダントを使い、晴れて自由の身となった武士はヘリコプターを操縦しパシリオーダーをこなす日々だ。時折、相方や相方を狙って住み着く中毒者がやって来るそうだ。迷惑だと言いながらその顔は楽しそうに笑っている。囲炉裏を囲み茶を啜り一息吐くと当方は尋ねにきた理由を話す。
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