エリステパロ死ネタ注意
ほんの数センチ先すら白く瞬いて見えないほどスポットライトで明るく照らされたステージの上。鼓膜が破れそうなくらいの音響に、耳障りな大声に囲まれ逃げられない僕らは、只々、隣だけを見ていた。
いつもはゆったりとしたバラード調の歌をしっとりと歌う濡れた低い声は、今日ばかりはアップテンポなリズミカルで激しい曲調に合わせて旋律を刻んでいて。汗が伝うこめかみ。長めの銀色の前髪の下で涼しげに細められた目。その奥でターコイズの瞳が僕を映した。薄く形の整った唇が開き、よく通る低い声はマイクを通して、会場中に美しく響き渡って。
僕は、ああ、好きだなぁ、と改めて実感した。
僕と彼の出会いは施設だった。ステージの上で歌唱させ、どちらが魅了したかの投票で人間の生死が決まるバケモノの悪趣味な娯楽に参加するためだけに集められた子どもが管理された施設。
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