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    ariabeta0024

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    私兵時代のジェルドとヌミダの妄想。強めの妄想です。
    変な所で終わります。

    10年ほど前、ヌミダ邸に大勢の強靭な山賊が乗り込んできた日があった。
    不幸にもその時の警備は手薄で、警備中の数人の兵達の実力はお粗末な者ばかりだ。ヌミダが邸宅から逃げ出す程度の多少の時間稼ぎ程度しか戦えず、兵達のほぼ全員が敢え無く散った。

    ところが呆れたことに、兵達が身を挺して逃げる時間を与えたにも関わらず、ヌミダ自身は外へ逃げもしないで自室に隠れて鍵をかけ、しゃがみ込み頭を抱え震えていた。
    足がすくんで動けないのだ。彼は典型的な元老院議員。腐りきった思考を持つ臆病者だ。

    その時、自室のドアを乱暴に突き破る音がした。ついに追手が現れたかと思ったヌミダは、出せる限りの大声で叫んだ。
    「ぶ、無礼者山賊風情が私の屋敷に立ち入るなど許さぬ!去れ、汚らわしき者め」
    返り血なのか、鎧を真っ赤に染めた男は無言でヌミダに近づいてくる。
    臆病者でなくとも、誰しもが恐れ慄くと言っても過言ではないほどの迫力だった。

    男はゆっくりと、真っ赤に染まった手をヌミダへ差し出した。
    「来るな…来るなっ…!!」
    ヌミダは恐怖のあまり涙も鼻水も止まらず、ぐちゃぐちゃになったその顔は、もはや有力貴族の面影は微塵も残っていない。

    「…もう山賊は居ません、閣下。ご無事なようで…。」
    兜で籠ったその声は男らしく落ち着きがあるが、どこか酷く鋭い声だった。

    「私はジェルド。貴方の…私兵です」
    ジェルドはヌミダを助けるつもりで手を差し伸べているのは違いない。
    だが、血に塗れた武骨なその手には「人助け」という言葉は似合わない。
    ヌミダはようやく胸をなでおろした。
    「な、なんだ…私兵か。な、なんだ…その…血の付いた汚らわしい手で私の手を取ろうと申すのか」
    ジェルドは「これは失礼」と手袋を外した。


    元老院でもある程度顔が通るくらいには順風満帆な人生を送ってきたヌミダだが、その男の手を取った事で、その人生は一変し、地に落ちる。


    それから随分時が経ち、ヌミダは捨て駒のような扱いを受けて死んだ。
    「この神聖な大帝国で、何処の馬の骨化も分からぬ者を将軍の座に置いた恥知らずの人生を、我らが女神様はお許しにならなかったのだろう…」と議員らは嘲笑った。
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