Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ariabeta0024

    @ariabeta0024

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 23

    ariabeta0024

    ☆quiet follow

    私の妄想の中のじぇるどとアルダーの話です。ジェルドが軍人として、純粋な気持ちを全面的に持っていた頃のお話です。

    ジェルドとアルダーは私兵時代に出会った。アルダーは貴族的地位は下っ端であった。家柄が物を言う帝国社会に生きる彼は、昇進など無謀な事は考えておらず、雇い主や上官の機嫌に背かぬ様、無難に生きていければいいか…などと考えていた。

    だが、ジェルドという男に出会い、アルダーの人生観は大きく変化する。ジェルドもアルダー同様に貴族的地位は低かった。だがアルダーのように"無難に生きよう"などとは微塵も考えておらず、周りの私兵達とは比べ物にならない程の戦果を貪欲に上げていた。これには上の貴族達も黙って見過ごす事は出来ず、ジェルドを昇進させざるを得なかった。

    アルダーにとって、ジェルドの存在は恐怖そのものであった。階級が物を言う社会で実力のみで昇進しようなどという思考が、まず狂気的だ。それに加え、眼の色を変えて戦果を上げる彼の姿は、人ならざるおぞましい雰囲気を感じさせた。だが恐怖と同時に、恐怖とは異なる別の感情がアルダーの中で芽生え始めていた。

    ジェルドとアルダーは私兵からベグニオン帝国軍人とと成った。ジェルドは実力が買われたのか、将軍としての地位を手に入れたと同時に、自らが率いる隊を持つ権利を得た。
    しかし、いくらジェルドに実力があろうとも、貴族的地位の低い彼の下に付こうとする兵達は居なかった。実力はさほどでもない癖して、プライドだけは誰よりも高い……そんな兵ばかりであったのだ。
    ジェルド自身も、そんな兵達には目もくれなかった。家柄が物を言う帝国社会で、彼はあろうことか家柄など一切気にせず、実力のみを重視して兵達を選出したのだ。実力はあるものの貴族的地位が低いため、上の人間には見向きもされなかった原石たちがジェルドの元に集った。
    アルダーもまた、ジェルド隊の一員として選出された。

    新生ジェルド隊に選出された兵達が初めて集まった時だった。
    将軍となったジェルドの姿を見るのは、アルダーにとって初めてだった。
    だがその顔つきはかつてのような戦闘狂の姿ではなく、指揮官としての厳しい雰囲気を感じさせた。

    「上の奴らや他の隊の奴らは、貴族的地位の低い者の集まりであるジェルド隊の事を皆嘲笑うだろう。
     だが笑わせておけばいい。一度戦場に出れば"階級"とか"貴族"だとか、そんなものはクソの役にも立たん。"殺す"か"殺される"か、その二択だ。
     兵士というものは上官の命令に従って戦い、勝利する事が仕事だ。そんな基本的な仕事もろくに成せぬ連中など相手にする価値も無い。
     俺はおまえたちのことを"実力"のみで選出した。だから、誰に何を言われようとも、お前たちは常に胸を張れ。
     この隊では身分の低い俺たちが"努力"をしても笑う者など居ない。おまえたちの向上心を見せてもらいたい。
     …今のベグニオン帝国は精鋭さを欠いている。だが、俺たちは過去のベグニオン帝国軍の栄光を知っている。
     あの時の栄光を、共にもう一度築き上げていこうじゃないか。愛すべき祖国の為ならば、俺は命も惜しまぬ覚悟がある。」

    嘘偽りを感じさせない演説にアルダーは衝撃を受けた。ジェルドは金や権力に目を眩ませた腐った無能の貴族らとは違う。根からの軍人だった。
    原石である兵達は、ジェルドの演説にこたえるように雄叫びを上げた。
    この人と共に歩んだ先に見える世界はどんなだろう。私も力になりたい、この人を支えたい。
    もはや「貴族らの機嫌」だとか、そんなものはどうでもいい。

    アルダーがジェルドへ抱く感情が"恐怖"から"敬愛"に変化した瞬間だった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works