牙崎くん死なない! オレ様は死なない。何を唐突にと思うだろうが、本当に死なない。例え話なんかじゃない。そのまんま、言葉通りの意味だ。
『死ぬかと思った瞬間』と書かれた台本をテーブルに放り投げソファに身を沈める。事務所は空調が効いていて、ソファはそれなりの固さがあり横になるにはぴったりだ。うるさいチビもらーめん屋もいない。そういえば、最近は別々の仕事が増えた。オレ様は次の仕事まで時間がある。だけど、それまでは正真正銘の一人っきりだ。あっちには眼鏡かけてんだか乗せてんだかわかんねぇやつがいた気もするけど。
死ぬかと思った瞬間。先ほどまで、チビとらーめん屋としていた会話が脳裏を掠める。チビは一番キツかった減量中の話をしていた。らーめん屋がそれを笑って聞いていて、オレ様にもそんな瞬間はあったか聞いてきたから、あるわけないだろ、と答えた。だってオレ様は最強大天才だから。
24855