ボルファー短い話試し読み 俺はスクラップを叩き壊しながら、お前の姿を思う。怯えきった顔。戦いの場で絶望に支配されているが、怪我した仲間を前にすると気丈さを保つサイバトロン。
ファーストエイド、お前はスクラップの山を見て、まだ動かせると言うだろう。お前にとってここは楽園なのだろうか。連れてきてやれば喜んだのだろうか。お前がこのガラクタたちを丁寧に治していく過程を俺はやや離れたところから眺めていて、早く終わらねえかなと態度を隠しもせずに待っているのだろうが、お前はお構いなしに手を動かし、作業が終わるとようやく晴れやさと申し訳なさを含ませた表情を向ける。想像に酔っている。
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