すきすきだいすきつきあって!「好きです!結婚してください!!」
結婚。結婚。ふーんめでたいね。朝特有のぼんやりした微睡みに体を浸している夏油は、頬杖をついたまま始業式、もとい入学式が始まるのを待っていた。急にドアが開いたかと思うと、弾丸のように飛んできた声は、宙につられたまま止まっている。朝っぱらから元気だなあと呑気に考えていた夏油は寝ぼけ眼の視線をちょいと横にずらす。瞬間、年甲斐もなく小さな悲鳴をあげそうになって飲み込んだ。いや、声が出なかったと言った方が正しいか。目線のすぐ横に、同じ制服を着た見覚えのない男が膝を立てしゃがんでいる。ふわふわとした白髪と、サングラス越しに覗く色素の薄い目がキラキラとした光をたたえて夏油を見ていた。15センチぐらい前に御座る顔はちょっとぎょっとするぐらい美しくて、ぽかりと開けた口を閉じる暇もなく白髪の彼から次の言葉が放たれる。
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