漂泊者(白芷の服ってなんか色っぽい) 白芷と昼食を共にしていた漂泊者は、かねてより思っていた事を不思議がって聞いてみた。
「白芷の服ってセクシーだよね。なんか白芷っぽくないような……?」
さらりと聞く漂泊者に、白芷はわずかに口元に笑みを施す。少し考えてから「あなたは、私の服装についてどういう印象を持った?」と白芷が聞き返した。
漂泊者は首を傾げて答える。
「白芷に似合ってて綺麗だと思う。何か改めて考えたらちょっと不思議だって思ったけど」
そう返すと、白芷は口元に手を当てて、目を瞑りながら淡々と答えた。
「一般的に視覚から得られる、精神的な充足感は少なくない。共鳴者にかかる精神的負荷は、通常より命に関わる重大なものであることもあるわ。……つまりそういうこと」
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