キミが好きだ。「あっれェー? 誰かと思えば日和くんじゃぁーん」
やっと見つけた。
日和がこのファミレスでバイトを始めたと聞いて足を運んだのに、注文を取りに来たのは別の奴だったから。
「なぁにやってんだよ、こんな日に」
「ああ、来てたんだ」
振り向いた日和の第一声は、相変わらず『面倒事が歩いてやって来た』、みたいな調子だった。
「オフシーズンだからって油売ってねーで……」
「今回は、橘くんの手伝い」
「へえ……。七瀬のダチか」
「今は僕の友人でもあるからね。……それよりほら、飲み物取りに来たんじゃないの?」
ああ。そういえば。
俺が日和を捕まえたのは、ドリンクバーの前である。
メニュー表を前に悩んでいるポーズを取り、フロアをちらちら眺めながら選んだ『キャラメルりんごのクレープパイ』は、快活な店員の言うには「少々お時間頂きまぁす!」ということらしかった。じゃあ時間を潰すかと、プレミアムドリンクバーも追加注文したのだ。それで、キッチン担当と聞いていた日和がタイミングよくカップ類を補充しにフロアに出て来たのだから、ちょうどよかった。
7497