真夏のあやまち オフの日は決まって御幸先輩の部屋に遊びに行く。それは二人の決定事項だった。同じ独身寮で過ごしていたが、ひと足先に退寮した先輩はセキュリティーのしっかりとした高級マンションに住処を移した。
「せんぱ~い!きましたよぉ!」
勝手知ったる他人の家。当たり前のように合鍵を使って中に入ると熱気が身体にまとわりついた。
「お~おつかれ~」
リビングのほうから聞こえる間延びした声に引かれるようにして廊下を進む。
まだ早い時間だからましだが、今日も暑くなる予報がでていた。そう思ってリビングのドアを開けると、空気は変わらず熱をはらんでいた。
「あっつい!なんすか!クーラーいれてくださいよ!」
キッチンで洗い物をしている見慣れた背中に声をかけると「リモコン見当たんねぇ」と不機嫌そうな声が聞こえた。
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